インスリン治療を要する1型糖尿病幼児の幼稚園・保育園入園のための職員向けガイドブックが発行

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すでに1月も半ばを過ぎ新入園シーズンを控え、日本小児内分泌学会 糖代謝委員会から 「1型糖尿病(インスリン治療を必要とする)幼児の幼稚園・保育施設への入園取り組みガイド」 がリリースされました。

 

園児受け入れ担当者および保護者のために、1型糖尿病幼児の入園取り組みガイドブックがリリース

このガイドブックは、幼稚園や保育施設の職員の方が漠然と抱える不安を解消し、保護者のインスリン注射、血糖測定、園での行事等についての大きな負担を少しでも減らすことを目指して作成されたものです。

職員の方にとっても、1 型糖尿病についての情報が増えることにより、1 型糖尿病の子どもとそのご家族に接する中で、最初は難しく感じたこと、高い壁も、次第に低くなると考えます。1 型糖尿病の子どもが慢性疾患を抱えながらも健やかに成長し、楽しい幼稚園・保育施設での生活を過ごせるよう、皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。(出典:日本小児内分泌学会 Webサイトより)

ガイドブック作成と配布の背景として、1型糖尿病の認識や理解が乏しい日本社会では、教育機関における支援体制が整っていないことが挙げられます。欧米白人では日本人と比較して発症率が10~30倍ということもあり、充分な支援体制のもと、教育の現場での差別は行われなくなってきているのだそう。記憶に新しいところで、2015年に報じられた新聞記事でも、1型糖尿病を理由に 「幼稚園や保育園への入園を断られた」 ことがある患児が少なくないという実態が明らかになりました。 また、入園を許可された後にも、インスリン注射や血糖測定を欠かせない患児への周囲の協力や理解を得るための働きかけや、幼稚園・保育施設の行事での同行など保護者の負担が大きいとされています。患児は血糖値を管理する措置は必要ですが、運動や食事に制限がないことなどもまだ充分に知られていません。

 

病気への理解、ケースに応じた実践的対応法から他の保護者への説明なども網羅

本ガイドブックでは、園が一方的に入園を拒否するのではなく、保護者や医療従事者との充分な話し合いを持つことや、インスリン注射や血糖測定における園の見守りと補助を求めています。また、低血糖への配慮やその措置としてのグルコース製剤の保管といった実践に活用できる内容も盛り込まれています。もちろんそうした具体的対応の以前に、「1型糖尿病とはどんな疾患なのか」 ということを箇条書きでわかりやすくまとめているので、職員が病気をよく理解することができます。仮に誤解に基づく発言や態度を取る園児や保護者が現れたとしても、職員が正しい理解のもと、誤解や齟齬を正し、周囲へ協力や配慮を醸成していくことができるのです。

その他、現在日本で手に入るインスリン製剤や血糖測定器などを豊富な画像と共に紹介し、幼稚園・保育園でのプール遊びや泥んこ遊びでの注意点(インスリンポンプを外す場合の示唆等) を示すことで、他の児童と変わらない活動を送れるよう指導しています。また、他の保護者の方への病気の説明についても、さまざまな観点を示すことで状況に応じた対応がとれるようにしています。

このガイドブック 『1型糖尿病 (インスリン治療を必要とす る) 幼児の幼稚園・保育施設への入園取り組みガイド―園児受け入れ担当者と保護者のために』 はこちらのページからダウンロードできます。

必要に応じてさまざまな活用ができそうです。

 

■ 出典

一般社団法人日本小児内分泌学会 ホームページ

株式会社毎日新聞 毎日新聞

 

 

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