【Working Life with IDDM】 vol.13☆最終回☆ 「切り拓いてこそ、人生!」

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自宅マンションを購入してからずっと単身赴任を続けてきた私は、上咽頭がんの治療を終え復職してからは久しぶりに自宅通勤となり、やっと地域に根差した生活ができるようになりました。年齢が50歳を超えたこともあり、この頃から会社での仕事以外の活動にも力を入れるようになりました。

 

50歳を機に、社外のさまざまな活動に参画。「仕事」 と 「疾病」 で磨かれた資産

一つはマンションの管理組合の仕事です。

本来であれば順番で理事に就くべき時期に渡米していた私に、帰国後改めて理事就任の要請がありました。理事のなかでも重責を担う理事長は誰も務めたがらないのですが、私は自ら進んで理事長に就任しました。ちょうど竣工から10年が過ぎ最初の大規模改修工事を実施する時期で、これまでになく多忙な理事会になることはわかっていましたが、共有資産であるマンションの資産価値を高めることはやりがいもありますし、多くの関係者と協議して多額の資金を動かすという仕事には自信もありました。

就任してみると、これまで管理会社に丸投げだった管理組合の運営の不具合を数多く見つけ、時には管理会社に乗り込んで交渉して改善に取り組みました。懸案であった大規模改修工事も10社以上の施行会社から見積りを取るなどして経費の支出を抑え、無事に予算内で行うことができました。理事長を1年の任期で終えた後も現在に至るまで、管理組合の活動には積極的に参加しています。

 

もう一つは、糖尿病患者会での活動です。

まず自分がかかっているクリニックで、1型糖尿病患者の会の立ち上げに関わりました。糖尿病の患者数は、日本では2型糖尿病の方が圧倒的に多いので、2型糖尿病患者の患者会は最初からありました。しかしそこでは栄養士による食事指導などが中心で、1型糖尿病患者特有の悩みや疑問を話し合う場がありませんでした。私は最初からクリニックのスタッフと1型糖尿病患者会の必要性を話し合っていたこともあり、立ち上げのときからクリニックの方々と一緒に活動の内容、会の名称、連絡手段などを決めていきました。

立ち上げ後は、患者側スタッフとして自らの体験談を皆さんに話したり、最近発病した方の相談に応じたりしました。今でもいろいろな企画を考えています。

 

なおも積極的スタンスは変わらず!患者会運営や転職も遂げ、周囲への感謝とともに

その後さらに活動範囲が広がり、神戸の1型糖尿病患者会に参加するようになりました。

最初は一参加者として催しに出ていましたが、グループディスカッションなどで積極的に発言を繰り返しているうち運営スタッフに誘われ、以後は運営側で活動しています。この会は病院主催でありながら、製薬メーカーのバックアップもあり、年3回の定期会合では阪神地区を中心に、常に100名以上の参加者を集めています。患者とその家族だけでなく医療関係者や栄養士の方々も多く参加され、1型糖尿病を抱えながらどう前向きに生きていくかに役立つ医療情報についての講演や参加者の輪を広げる活動を行なっています。

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(海外赴任時の筆者)

仕事面では、30年勤めた会社から別の会社に転職しました。採用面接の際、1型糖尿病でインスリン注射していることと、最近上咽頭がんにかかったことを告げましたが、仕事上で支障を来すことはないと判断され採用していただきました。今は新たな環境で頑張っています。

 

思い返せば、最初に糖尿病と診断されたときから四半世紀の時が過ぎました。インスリン注射歴も20年を超えましたが、支えてくれた妻や医師のおかげもあって低血糖昏睡や合併症などの大きなトラブルはなく、今も現役で働き続けています。

これからもずっと糖尿病を抱えて生きていくなかで、新しい医療技術の進歩はめざましいものがありますので、それらもうまく取り入れながら進んでいきたいと思います。30才での発症から現在までを振り返りながらこれまで私の体験談を述べさせていただきましたが、今回で終了とさせていただきます。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。拝読いただきありがとうございました。

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