【第4回】歯周病が関わる全身の病気〜知って良かった!歯と健康のお話〜

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歯周病が進行すると、どうなる?

歯周病は、単なる口の中だけの病気と今までは考えられていました。しかし、最近、肺炎の患者さん、心筋梗塞の患者さん、糖尿病の患者さん、および低体重児出産の母親では歯周病に罹っている割合が高いことがわかってきました。

歯周病が進行してくると、その影響は口腔内にとどまりません。図のように口腔内で増殖した細菌は気道を通じて直接気管や肺に移動します。

(図)「歯科衛生士のための21世紀ペリオドントロジーダイジェスト」 クインテッセンス出版より引用

また、口の中は血流がさかんなところなので、細菌や細菌が出す毒素(LPS)が血液を通して全身に移動します。さらに、歯磨き不良などで歯周病細菌が増えると、それらを攻撃するはずの免疫が過剰に反応(炎症)してしまい、逆に体を攻撃してしまうことになります。

 

歯周病が関わる全身の病気

抵抗力の低下した高齢者の死因の第一は肺炎です。その中でも、歯周病細菌は誤嚥性肺炎の原因菌となっていることがわかってきました。

歯周病は微弱な慢性的・継続的な炎症(免疫反応)であるので、この炎症は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)を誘発し、糖尿病患者さんにおいて血糖コントロールの悪化をもたらします。

また、この炎症が動脈硬化虚血性心疾患(心筋梗塞など)の発症の危険因子の1つと考えられています。

さらに、ある種類の歯周病細菌は頸動脈や冠状動脈に糊状硬化(血栓)の形成に関わっていることがわかってきました。

しかも、炎症の結果産生された物質が羊水中の炎症レベルを上昇させると考えられ、早期出産につながる可能性もあるのです。

 

つまり、歯周病になると歯周病細菌や毒素(LPS)、さらに体を守るはずの免疫反応が全身に影響して、肺炎を起こしたり、糖尿病の状態を悪くしたり、心臓血管疾患を起こしたり、低体重児出産を起こすなど、全身の様々なところに影響を与える可能性があるのです。

 

次回は、歯周病と全身との関連について詳しくお話しします。

 

<関連記事>

▶【プロローグ】歯周病ってどんな病気? 〜全身への関わりから最新治療まで〜

▶【第1回】連載にあたって〜知って良かった!歯と健康のお話〜

▶【第2回】歯周病(歯そうのうろう)とは〜知って良かった!歯と健康のお話〜

▶【第3回】歯周病(歯そうのうろう)の症状〜知って良かった!歯と健康のお話〜

▶【第4回】歯周病(歯そうのうろう)が関わる全身の病気〜知って良かった!歯と健康のお話〜

 

栗原幹直(くりはら みきなお)

徳島大学歯学部卒後、岡山大学歯学部歯周病態学講座入局。2004年広島県三原市に「くりはら歯科医院」を開業。日本歯周病学会歯周病専門医、日本糖尿病協会登録歯科医、1型糖尿病患者専門受け入れ歯科医院。

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