KDDI 総研が 「糖尿病兆候」 を予測する技術を開発。積極的な予防促進へ期待

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「意思力」 だけでは防ぎぎれない 2 型糖尿病を、AIを用いて兆候から予測する技術が登場

意識して生活習慣を適切に整えることで予防ができる、2型糖尿病。とは言え、家事や仕事に追われる現代人の日常にあっては、「意思力」 だけに頼ることはかなり困難といえるかもしれません。そんななか、 KDDI 総合研究所 (埼玉県ふじみ野市) では、人工知能(AI)を用いて健康診断の結果や診療報酬明細書などのデータから、糖尿病にかかるリスクを予測する技術を開発したことを発表しました。この技術により、検査値で兆候が表れる以前から予防することが可能になるとされています。

この仕組みは、糖尿病を発症した人の過去の健康状態に共通する特徴をデータから見つけだし、パターンが似ている人ほど発症するリスクが高い、と判定するものです。日本経済新聞にさらに詳しい記述があります。

糖尿病のリスクは通常、直近1~2カ月間の血糖値の平均を示すヘモグロビンA1cなどの指標で判断する。開発した技術は指標が異常値に達していなくても、わずかな変化や他の検査値からリスクを判定できる。

30~64歳の3千人を超すデータから3年後に発症する人を予測できるか検証した。発症したのは約20人で、半数は予測が的中した。(出典:日本経済新聞)

 

なお、KDDI 総研では、この技術を企業の健康保険組合などを対象にしたサービスとして、2 ~ 3 年以内の実用化を目指しているそう。

 

経済産業省は民間大手と連携し、AI 導入データベース構築で最適な生活習慣の見直しへ

AI を用いた糖尿病研究は他にも動き出しています。

経済産業省は糖尿病など生活習慣病の予防に向け、AI が運動や食事の改善などを助言する仕組みを 2017 年 2 月に始めることを発表しています。国が先頭に立って推進する背景には、医療費削減という重い課題があるからです。

こちらは、16年9月からトヨタ自動車をはじめとする8つの企業団体から約800名の糖尿病軽症者が、歩数や体重などを連続計測。そこから生活習慣と症状の関係を示すきめ細かいデータを蓄積し、AIの性能向上に生かしていくものです。この過程では専門医の指導もし、2017 年 2 月には共通データベースへと集約されます。

 

現在、各分野で発展が進むテクノロジーは、労働力不足や高齢化などの社会課題にも対応しながら、大きな利便性をもたらすものとして世界中で研究が進められています。ビッグデータに昇華された多数の生活者データが、糖尿病の予防や改善に役立てられる時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。

 

■ 出典

株式会社日本経済新聞社 日本経済新聞

株式会社日刊工業新聞 ヤフージャパン記事

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