近畿大学等の研究グループが劇症1型糖尿病の発症に関与する第二の遺伝子を発見!

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近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科 池上博司主任教授らの研究グループが、劇症1型糖尿病の発症に関与する第二の遺伝子を世界で初めて発見し、劇症1型糖尿病に対する新たな予防法・治療法の確立が期待されます。

 

■ 背景

インスリン補充を毎日必須とする1型糖尿病の中には、数日から1週間前後で急激にインスリン依存状態に陥る劇症1型糖尿病というものがあります。血液が酸性になり体に異常をきたす「糖尿病ケトアシドーシス」を引き起こしやすく、治療が遅れると死に直結する重篤な疾患ですが、その他の1型糖尿病と同じく発症メカニズムは明らかになっていません。

そのような中、劇症1型糖尿病になりやすい体質を決定する遺伝子を見つけ、その働きを解明することによって、発症メカニズムの解明と予防や治療に役立てるために2008年から2018年にかけて近畿大学をはじめとする日本糖尿病学会1型糖尿病委員会所属の国内18施設で全ゲノム関連解析という網羅的な解析法を駆使して共同研究が進められました。

 

■ 研究成果のポイント

〇東アジアに多い劇症1型糖尿病に関する研究をオールジャパンで実施
◯全ゲノム関連解析により、1型糖尿病の劇症化に関与する遺伝子を世界で初めて特定
◯劇症1型糖尿病の新たな予防法や治療法への応用を期待

※近畿大学より引用(世界初!糖尿病の劇症化に関わる遺伝子を発見 オールジャパンで「劇症1型糖尿病」発症メカニズムの解明に挑む|学校法人近畿大学のニュースリリース

 

■ 結果

今回の研究発表では、自己免疫疾患や免疫関連疾患の多くが関連を示すHLA遺伝子に加えて、12番染色体長腕のCSAD/Lnc-ITGB7-1という領域に劇症1型糖尿病の発症に関与する第二の遺伝子があることが世界で初めて示されました。

さらに、その領域を詳細に解析した結果、遺伝子の構造そのものが原因ではなく、この遺伝子が付近に存在するITGB7という分子の発現量を変化させることが劇症1型糖尿病の発症に関与している可能性が高いことが明らかにされています。

 

■ 今後の期待

全ゲノム関連解析により、発症機序が明らかでない「特発性」の劇症1型糖尿病の発症に関連する遺伝子が発見されたことは、今後の治療さらには予防にもつながっていく可能性を広げた研究結果だと思います。

また、劇症1型糖尿病は肺がんに有効な免疫チェックポイント阻害薬の副作用としても認知されているため、これらの発症メカニズムの解明やより安全で・確実な免疫療法の開発も期待されるのではないでしょうか。

 

■ 近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科への研究室訪問記事

2018年4月には、今回の研究のチームリーダーになられた近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科への研究室訪問を行いました。

1型糖尿病と遺伝をテーマに、日本IDDMネットワークの「1型糖尿病研究基金」で2016年度に研究助成を行った講師の能宗伸輔先生や同席いただいた主任教授の池上博司先生にお話しを伺った記事は下記リンク先で公開されています。

第8回 患者が行く!研究室訪問~近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科 能宗伸輔先生~ 

 

■ 関連リンク

世界初!糖尿病の劇症化に関わる遺伝子を発見 オールジャパンで「劇症1型糖尿病」発症メカニズムの解明に挑む|学校法人近畿大学のニュースリリース

世界初!糖尿病の劇症化に関わる遺伝子を発見 オールジャパンで「劇症1型糖尿病」発症メカニズムの解明に挑む [学校法人近畿大学] – News2u企業リリース – 朝日新聞デジタル&M

「劇症1型糖尿病」に関与する遺伝子を全ゲノム解析で世界ではじめて特定 日本糖尿病学会1型糖尿病委員会がオールジャパン体制で実施 | ニュース/最近の関連情報 | 糖尿病リソースガイド

 

(大村詠一)

 

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