寒さが本番を迎えるこれからの季節、糖尿病の方が知っておくべき 「寒冷」 によるリスクとは

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木枯らし 1 号が吹き、日ごとに寒さが増しているこの頃。気温が下がると風邪をはじめ、体調を崩しやすくなりますが、もう一つ留意しておきたいのが 「血圧」 です。

 

脳卒中、心筋梗塞の要因となる動脈硬化。糖尿病との関係は?

1型糖尿病や2型糖尿病など糖尿病のタイプによらず、糖尿病患者の方が血糖コントロール不良によって、血糖値が高い状態にあり続けると動脈硬化の危険性が高まります。動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞の要因とされているうえ、糖尿病は動脈硬化が進行しやすい傾向があるので充分注意が必要です。

心筋梗塞は虚血性心疾患の一つで、心臓の筋肉を養う冠動脈が細くなる病気です。主に狭心症と心筋梗塞がこれに該当し、心筋に血液が十分に行き渡らない状態に陥ると、胸痛などの心臓発作を引き起こすものです。なぜ、唐突に 「心筋梗塞に注意!」 というお知らせをしているのかと言いますと、心筋梗塞は冬場にとても多いとされているからです。

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長らの研究グループによると、冬場に心筋梗塞が増加する原因として、 「寒冷期の血圧の上昇、特に暖かい屋内から特に寒い部屋や屋外に移動する際の血圧の急激な変動」 を挙げています。そもそも心筋梗塞は、心臓の冠動脈が閉塞することで発症します。結果、心臓の機能が急激に低下したり、重症の不整脈を合併することで突然死をきたす原因ともなる怖い病気です。

この冠動脈の閉塞は、寒さの他に動脈硬化からも起きることと、糖尿病による神経障害が起きている場合、胸痛発作を感じにくかったりすることで速やかな治療開始に至らないこともあるので注意が必要なのです。

※多目的コホート研究による全虚血性心疾患発症リスクにおける糖尿病群で3.05倍に上昇について

 

リスクを知っておけば対処ができる。入浴時に気をつけておきたいこと

しかし、あまり神経質になりすぎる必要はありません!いつもながら、「リスクを知って備えること」 が大切です。前述のとおり、心筋梗塞のリスクが上昇するのは 『特に暖かい屋内』 から 『特に寒い屋外または部屋』 への移動とされています。つまり、急激な温度変化が危ないわけです。

たとえば、気をつけたいのが入浴です。

お湯の温度が42度以上になると血圧が上がりやすいとされていますので、38~40度のややぬるめが安全とされています。また、脱衣場の寒さも要注意。脱衣場と浴室は、入浴前に温めておくと急激な気温差の心配が減されます。

糖尿病の患者さんは、普段から良好な血糖コントロールに加えて、寒くなるこれからの時期は、心筋梗塞のリスクを知って注意をしておくことが大切です。

 

■ 参考

国立循環器研究センター  プレスリリース

株式会社創新社 糖尿病ネットワーク

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