赤ちゃんと母親の双方の健康のために。妊娠糖尿病について知ろう

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「妊娠糖尿病」 について知っておきたい情報をご紹介します。

 

妊娠糖尿病のリスク要因とスクリーニングの必要性

日本糖尿病・妊娠学会によると2010年に妊娠糖尿病の診断基準が大きく変わり、世界共通の基準が提唱されました。それによると 「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である」と定義され、妊娠時に診断された明らかな糖尿病 (overt diabetes in pregnancy) は含めないことになっています。そのため妊娠糖尿病では、お産が終わって、6~12週間後に再びブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。妊娠時に診断された明らかな糖尿病の人も産後に耐糖能の再評価が必要となります。

妊娠がわかったらすべての妊婦を対象に妊娠糖尿病のスクリーニングを受ける必要があります。なかでも以下に挙げるリスクファクターをお持ちの方は積極的にスクリーニングを受けることが望ましいとされています。

 

■リスクファクター


〇家族に糖尿病患者の有無
〇肥満
〇35歳以上
〇巨大児分娩既往
〇原因不明の習慣流早産歴
〇原因不明の周産期死亡歴
〇先天奇形児の分娩歴
〇強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
〇妊娠高血圧症候群
〇羊水過多症

 

赤ちゃんと母親の双方の健康を保持するにも、妊娠中の血糖値は良好に保つことが大切です。妊娠糖尿病の場合でも、目指す血糖値は健常の妊婦と同等レベルとのこと。日本糖尿病・妊娠学会によると現在、世界的に推奨されている血糖コントロール許容値は食前血糖値100mg/dL未満、食後1時間血糖値140mg/dL未満、食後2時間血糖値120mg/dL未満とされているそうです。この辺りは個体差も考慮し、あくまでかかりつけ医の診察を基準にしましょう。

先月26日、朝日新聞デジタルが報じたニュースによれば、熊本地震後に熊本県内の妊産婦たちに妊娠糖尿病を含む 「耐糖能異常」 などの症例が増える傾向があったことを熊本大学の産婦人科医からなる研究チームが発表しました。

妊娠糖尿病など耐糖能異常の16年の症例数は前年より約16%増えた。月別だと4月は前年の1・6倍に増え、いったん減少後、9~12月に増加に転じた。妊娠高血圧症候群は前年より3・6%の微増。月別では7月から増加傾向に転じた。報告した熊本大大学院の坂口勲医局長は「長期化する避難生活や車中泊による偏った食生活などで耐糖能異常などを引き起こした可能性がある」と指摘した。(出典:朝日新聞デジタル

まだ中間報告ではありますが外的環境もリスク要因になると捉え、意識的に対策を考えることも必要かもしれません。

 

■ 出典

一般社団法人日本糖尿病・妊娠学会 Webサイト

株式会社朝日新聞社 朝日新聞デジタル

 

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