日本IDDMネットワーク、1型糖尿病根治へ向けた研究を行う京都府立大学へ研究助成

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1型糖尿病(※)の根絶を目指す認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク (理事長 井上龍夫:事務局 佐賀市) では、この病気の根治に現在最も近いと期待される 「バイオ人工膵島移植プロジェクト」 における各研究領域へ総額1億5千万円の研究助成を行うこととしています。そのうち京都府立大学へは感染症検査方法の確立のために1,000万円を助成いたしました。これに伴い、2016年12月16日、京都府立大学から感謝状をいただきました。

※1型糖尿病とは:
https://japan-iddm.net/what-iddm-is/
※バイオ人工膵島移植プロジェクトとは:
https://japan-iddm.net/bio_iol_project/

 

同大学が担当する研究内容は、医療用ブタの膵島細胞から作製した「バイオ人工膵島」のヒトへの移植に際し、このブタの膵島細胞を検査し厚生労働省が定める特定病原体の有無を確認する技術を確立するというものです。本研究を担当・主導するのは京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室の井上亮講師です。

 

?佐賀県庁による「ふるさと納税」を用いた寄付金1,000万円を京都府立大学研究チームへ

本研究助成の財源が佐賀県庁のNPO支援に基づく「ふるさと納税」を用いた寄付金であることから、さまざまな観点で注目すべき取り組みであることが評価されています。佐賀県庁への日本IDDMネットワーク指定の「ふるさと納税」を用いた寄付金は現在までに1億7千万円へと規模拡大を遂げ、「バイオ人工膵島移植プロジェクト」における研究助成金の財源として確かな実績を残しています。1型糖尿病根絶に向けて現在もっとも期待されている「バイオ人工膵島移植」とは、機能が極めて人間に近いとされるブタの膵島を用いた「バイオ人工膵島」をインスリンは通しつつ免疫による攻撃は通さない特殊なカプセルに封入し、移植する方法です。これにより免疫抑制剤なしで毎日の注射やポンプによるインスリン補充が必要なくなる可能性は高く、海外では既に臨床研究が進められているものです。

 

京都府立大学が進める「感染症検査方法の確立」

京都府立大学が行う研究は、バイオ人工膵島移植の安全性を確認するための感染症検査方法の確立です。ヒトの体内にブタなど異種動物の細胞を移植する異種移植が厚生労働省に容認され、バイオ人工膵島の移植実現が近づきました。移植にあたって厚生労働省は指定する90 種類の特定病原体に感染していないかを確認すべきとしていますが、これを確認する方法が存在しないのが現状です。本研究では「PCR法」、「次世代シーケンサーを活用した検査方法」の2通りの手法で感染症の有無を調べる方法を確立することを目的としています。また、今後を想定して厚生労働省が指定する90 種類以外の病原体の感染も併せて確認できる方法も確立します。

図1:バイオ人工膵島移植実現に向けた感染症検査体制の構築  京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室 井上亮 講師作成資料より
図1:バイオ人工膵島移植実現に向けた感染症検査体制の構築
 京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室 井上亮 講師作成資料より

【PCR 法の開発】

検出したい病原体の遺伝子だけに結合する「プライマー」と呼ばれる短いDNA を2種類(図1のF とR)設計し病原体の遺伝子を数千万から数億倍まで増やすことで、ブタ体内に感染したごく少量の病原体でも検出することができるようにします。指定された90 種類の病原体それぞれを検出する「プライマー」を作成します。

【次世代シーケンサーを利用した検査方法】

次世代シーケンサーという塩基配列を決定する機械でブタ膵島のDNA とRNA を全て解析し、ブタ由来ではない遺伝子を検出します。指定された90 種類以外の病原体を検出することができます。

 

「寄付」がつなぐ支援者と研究者、そして日本IDDMネットワークによる1型糖尿病根絶へのプロジェクト

助成を行った本研究が成功することで厚生労働省による指針をクリアすることができれば、バイオ人工膵島移植実現への障壁の一つが取り除かれ、より安全に膵島移植を受けられる環境を整備することになります。
12月16日、京都府立大学において、同大学の築山崇学長より日本IDDMネットワークの井上龍夫理事長へ感謝状が贈られ、同大学井上亮講師から謝辞が述べられました。他に副学長・地域連携センター長の小沢修司教授、副学長・産学連携担当の田中和博教授も列席されました。

その後、井上講師の研究室を訪問し実際装置を見ながら、実験のやり方などの説明を受けました。さらにこの研究に至った経緯や現在の研究状況の説明も受け、実際に研究を担当する学生とも対面し、本研究に対する期待の大きさを示してまいりました。

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こうした1型糖尿病根治に向けた研究の成果が、いずれ2型糖尿病を含めた世界的な脅威となりつつある「糖尿病」の撲滅に寄与することを願い、日本IDDMネットワークでは今後も研究助成を実施していきます。今回、寄付に対する感謝状の贈呈を受けたことで私たちと最前線で研究に取り組む研究者たちの信頼関係がより強固な絆へと結ばれたことを実感いたしました。さらにこうした関係構築も日ごろの支援者の皆様による多大なるご支援の賜物であることに、あらためて厚く御礼申し上げる次第です。
【団体概要】
〒840-0823 佐賀県佐賀市柳町4-13
認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
理事長 井上龍夫
WEB:https://japan-iddm.net/

TEL:0952-20-2062

MAIL:info@japan-iddm.net

 

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