1型糖尿病は、毎日のインスリン補充なしでは生きられない病です。いまも、世界中の患者が血糖値を測り、注射やポンプを使ってインスリン補充を欠かすことなく生活しています。
私たち日本IDDMネットワークは、この病気を「治る病気」にすることを目指して活動しています。その柱となるのが、患者・家族の“絶望を希望に変える”、“不可能を可能にする”という夢の実現に向けて取り組んでおられる研究者の方々への「研究費支援」です。
私たちは、患者・家族自身の行動が、未来を変える研究の原動力になると信じています。
今回は、当団体理事長の「研究支援にかける想い」と「研究審査のしくみ」、そして「透明性を大切にする情報公開」についてお伝えします。
1型糖尿病を治る病へーこの世からなくなるために、研究支援を最優先に

「私たちの当面のGOALは“1型糖尿病が治る病気になること“です。今は難しくても、研究者方々の力で必ずその日が来ると信じています」日本IDDMネットワーク理事長の岩永幸三は、自身も1型糖尿病患者の父として、この病と長年向き合ってきました。だからこそ、患者・家族が研究を支える意義を強く感じてきました。
2005年の「1型糖尿病研究基金」設立当初から、研究助成は当団体の最重要事業のひとつとして位置づけられてきました。「1型糖尿病が発症する仕組みを解明する基礎研究」から「移植や再生医療などの先端医療」「より良い治療環境を整える臨床研究」まで、さまざまな領域の研究を支援してきました。
「研究には時間がかかります。すぐに成果が出るわけではありません。しかし、一歩一歩、確実に未来に向かって進んでいます。だからこそ、私たちは“支援を続ける”ことに価値があると信じています」
「公正に、そして患者・家族目線で」— 研究審査の仕組み
日本IDDMネットワークの研究助成は、毎年全国の研究者の方々から応募があります。審査は大きく2つの視点から行います。
1.1型糖尿病の各分野の専門医・研究者による学術的な審査
2.NPOならではの「患者・家族の視点」による審査
です。
学術的な審査では、研究の実現可能性や倫理面などが評価されます。
もう一つの「患者・家族の視点」による審査では、患者・家族が審査に加わり、
・この研究は、患者の生活をどう変えてくれるのか
・患者が必要としている研究かどうか
を丁寧に見ていきます。
患者・家族の声が研究の審査に反映されるのは、とても意義のあることで、研究者にとっても“自分の研究を本気で審査し、応援してくれる患者・家族がいる”ということが大きな励みになっていると思います。
審査は納得いくまで何回も質疑を繰り返して、最終的には患者・家族の視点でも選んだ研究に、私たちの寄付が託されていきます。
「企業にはできない支援を、NPOだからこそ」
医療の研究開発には、製薬企業などの資金も大きな役割を果たしています。しかしながら企業の場合、「将来、採算に見合うかどうか」が重要な判断基準になります。市場が小さかったり、収益につながりにくい研究は後回しにされることもあります。
一方、日本IDDMネットワークはNPOとして、採算ではなく「患者・家族の期待」にそった研究支援ができます。
「たとえば、ある新しい治療の“アイデア”が生まれても、まだ臨床段階には遠い。そうした“シーズ”(種)の段階の研究は、大きな助成金を得にくいのが現実です。しかし、患者・家族から見ると、『それが実現したら、すごく助かる』『生活が変わる』と思えることがあります。」
実際に、当団体の助成を行った研究が、治療の現場でいかされたり、治験まで進む例もでてきました。
患者・家族の寄付が、1型糖尿病を取り巻く社会を動かす最初の一歩になる、産業として治療にいかされるまでの橋渡しになる。それがNPOが担う研究支援の価値です。
「研究の進捗を、すべて公開しています」
寄付者の方々にとって、「自分の寄付がどのように使われているか」は重要な関心事です。日本IDDMネットワークでは、研究助成後の情報公開にも力を入れています。
採択した研究の進捗状況などを、公式サイトですべて公開し、1年毎に更新しています。
「寄付は“信頼”があってこそ集まるものです。だからこそ、その研究が毎年どれくらい進んでいるのかを、できる限りオープンに伝えています」
研究助成の実績や公開ページは、以下のリンクからご覧いただけます。
研究支援のページを見る
一緒に「治る未来」をつくるために
1型糖尿病を治す——その目標は、決して簡単なものではありません。けれど、患者・家族があきらめずに行動を続けていくことで、未来は少しずつ動いていきます。
研究を支えることで、希望を持ち続けることができ、一歩ずつ「治る未来」に近づくことができます。
私たちは、1型糖尿病が「治る日」を本気で目指して活動しています。
これまでご寄付くださった皆さまの思いが、数々の研究の実現を後押しし、着実に前進する力になってきました。本当にありがとうございます。
これからも、患者・家族の願いを研究につなぐ「治る未来」を一緒に築いてください。
そして、その先の最終ゴール”1型糖尿病の根絶(=治療+根治+予防)”に向けて。