抗がん剤 「ペムブロリズマブ」 が抱える劇症 1 型糖尿病の発症リスクについて、厚労省が注意喚起

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10 月 26 日、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課から、ペムブロリズマブ使用時の劇症 1 型糖尿病の発症について、注意を喚起する発表がありました。

 

メラノーマ治療に有効性を認められた抗がん剤、ニボルマブ、ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ) とは、一見ホクロのように見える皮ふがん、悪性黒色腫 (メラノーマ) の治療に有効だと見なされている免疫チェックポイント阻害薬です。
同様の作用機序を有する薬剤には、ニボルマブ (商品名:オプジーボ) という薬品があります。

これらは主として根治切除不能な悪性黒色腫のための治療薬として開発された抗がん剤ですが、胃がん、非小細胞肺がん、頭頸部がんなど、他のがんにも使用され、有効性が確認されています。
また、ニボルマブは平成 28 年 2 月からは包括医療費支払制度の対象外となっており、使用患者数の増加が見込まれます。

 

ニボルマブ、ペムブロリズマブが抱える劇症 1 型糖尿病発症という副作用

がん治療に有効だと大きな期待を受けるこれらの薬品ですが、劇症 1 型糖尿病の発症という重大な副作用があると、厚生労働省から注意喚起が行われています。

劇症 1 型糖尿病とは、発症するまでの期間が短く、1週間前後で糖尿病性ケトアシドーシス状態に陥るなど、急速に重篤化する糖尿病です。
高血糖による意識障害など、死亡にまで至るリスクも想定され、早期の発見や適切な治療が必要となります。

これらの薬を使用している際、血糖値の上昇や口渇、多飲、多尿、体重減少、全身倦怠感、意識障害が起こった場合には、劇症 1 型糖尿病の発症を疑う必要があります。

ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤使用時の劇症1型糖尿病に関する周知について(依頼) (平成28年1月28日)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000114136.pdf

ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)製剤使用時の劇症1型糖尿病に関する周知について (平成28年10月24日)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000140770.pdf

 

副作用のリスクを知り、自分の状態にあった治療薬を選ぶ姿勢も必要に

患者として治療を受ける際、これらの薬を投与されることとなった場合も、劇症 1 型糖尿病発症のリスクを知っておく必要があります。薬の効能や副作用について、医師の話をよく聞き、何かがあった場合すぐに反応できる体制を用意しておくことも重要でしょう。

また、持病を抱えている場合、その病状を医師と共有して、適切な治療薬を選んでいくことも必要です。
薬の服用を行う際は、医師任せにするのではなく、その薬の効果・副作用について知ろうとする姿勢が、リスクの減少につながります。

 
■ 参考

厚生労働省 ホームページ
株式会社創新社 糖尿病リソースガイド
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
株式会社ファレッジ 役に立つ薬の情報~専門薬学
株式会社薬事日報社 薬事日報

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