「座りっぱなしは危ない!」 という警鐘を各国で多くの研究者が発しています。PRESS IDDM においても座り時間の長さと糖尿病との関連性についてお伝えしてきました。そしてこの度、新たに2型糖尿病の男性患者において、座位時間が長いほど勃起不全 ( ED ) の 発症リスクが高まることが愛媛大学の研究グループにより発表されました。
糖尿病合併症のひとつ ED その関連性がついに明らかに
ED は糖尿病の合併症の一つです。血糖コントロール不良を原因とし、その状態が続いた結果、神経障害や血管障害が起こるとされています。糖尿病患者は健康な男性と比べると ED の発症率が2~3倍となり、40代以降では半数程度、60歳過ぎると6~7割が患者になるといわれています。
一方で、座位に関しては1時間増えるごとに糖尿病リスクが22%高まることが示されてきました。これは座り姿勢で血行が悪くなることが原因だと考えられていますが、今まで糖尿病患者の座り時間と ED の発症を明確に結び付けられるものはありませんでした。
今回の研究発表を行った愛媛大学大学院疫学・予防医学講座の古川慎哉准教授らのチームは、2型糖尿病患者においてこれら二つの関連性を発見することを目的とし、2009年から生活習慣や健康状態の変化を記録・追跡している 「道後 Study 」 を分析することによって結果を得たとしています。
重症 ED 発症リスクが85%も上昇 1日の座位時間に要注意!
本研究は 「道後 Study 」 の平均年齢60.5歳の男性患者430人を対象とし、自己回答型のアンケートを実施するというかたちで行われました。また、 ED 診断で使用される質問表で診断したところ、このなかには ED 中等症が36.1%、重症は49.8%いたといいます。これら対象者の過去12か月間における1日平均座位時間を調査し、その回答結果から 「5時間未満」 「5~7時間」 「7~9時間未満」 「9時間以上」 の4つに分類した上で、年齢、 BMI 、糖尿病になってからの期間、喫煙や飲酒習慣の有無など、諸条件を調整して解析が実施されました。
その結果、座位時間 「9時間以上」 の人と 「5時間未満」 の人を比較すると、重症 ED 発症リスクが平均85%も高くなると示されました。さらに、中等症リスクにおいては65歳以上 「9時間以上」 でリスク上昇が見られたといいます。
今回の研究により、座っている時間の長さは2型糖尿病患者における ED 発症に関連付けられることが明らかとなりました。あらためて1日の座り時間には注意が必要なようです。
■ 参考
アンチエイジング医師団/ジェイ・キャスト Aging Style
株式会社メディカルノート Medical note