食後の体調に留意することで、見つかりにくい 「グルコーススパイク」 の兆しを認識

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近頃 「血糖値スパイク」 という言葉がテレビや新聞で話題となりました。
「グルコーススパイク」とも呼ばれ 、空腹時血糖値が正常範囲内であるのに食後急激に高血糖となってしまうことを指しています。「隠れ糖尿病」 とも言われてきました。

グルコーススパイクとは 2 型糖尿病の発症前によく見られる症状でもあり、国際糖尿病連合 (IDF) の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」 では、 “食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子”とされる、注意の必要な症状ではあります。

 

食後に血糖値が急上昇&急降下する 「グルコーススパイク」

このグルコーススパイク、具体的には以下のような状態を指します。

 空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きく、食後に血糖値が大きく上昇することを「血糖値スパイク」(グルコーススパイク)という。糖尿病のある人は、適切な治療を行わないでいると、糖質(炭水化物)を多く含む食品を食べることで、空腹時に100mg/dLぐらいだった血糖値が、食後血糖値が一気に200~300mg/dLまで上昇することがある。(出典:糖尿病ネットワーク

食後に急激に上昇した血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、その作用で急激な低血糖を起こすことで、体調不良を招くと言われています。

血液中にブドウ糖があふれると、インスリンが働き血糖を脂肪に変えて脂肪細胞に蓄えていきます。
すると今度は、血糖値が急激に下がり、軽度の低血糖を起こし、交感神経刺激症状 (発汗、不安、動悸、頻脈など)、頭痛、眼のかすみ、空腹感、眠気などの不調が起こることがあります。本来、低血糖とは糖尿病治療中に見られる症状ですが、健康診断では正常である人でも高 GI 食品 (高糖質で血糖値を急上昇させる食品) を摂ることで血糖値の急上昇&急降下が起こり、軽度の低血糖の症状が現れることがあるのです。(出典:大塚製薬ホームページ「健康と病気」

食後、このような症状が発症しても、原因不明の体調不良として、そのまま見過ごしてしまう場合も多いようです。

 

?「ちょっとした不調」 や 「親族の糖尿病歴」 に留意して気になったら検査も

グルコーススパイクは、日本糖尿病学会が発表している糖尿病治療ガイド2016-2017(抜粋)にて定義される「正常型」(空腹時血糖値が110mg/dL未満)である人にも多く起こっています。そのため、通常の健康診断では見逃されてしまい、気づかぬうちに 2 型糖尿病が進行していたり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの重篤な症状を招く可能性もあるのです。

通常の健康診断では見逃されがちなグルコーススパイクを見抜くには、医療機関で 「経口ブドウ糖負荷試験」 という検査を受ける必要があります。空腹の状態で 75 g のブドウ糖液を飲み、 30 分、 1 時間、 2 時間という一定時間後に血糖値を測ります。

食後にすぐ眠くなったり、ぐったりとして動けなくなったり、意味もなくイライラする、というような自覚症状のある方は、一度検査をしてみてもよいかもしれません。

2 型糖尿病前段階のサインであるグルコーススパイクに早めに気づき、早期治療を行うことで、糖尿病の進行や重篤化を防ぐことができます。

 

 

■ 出典
株式会社シグナルトーク  my healthy
大塚製薬株式会社  健康と病気
日本イーライリリー株式会社 Lilly Diabetes
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
アステラス製薬株式会社 「なるほど病気ガイド」
糖尿病治療ガイド2016-2017(抜粋):日本糖尿病学会 The Japan Diabetes Society

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