バイオ人工膵島移植実現に向けて、その進捗状況を、この分野の第一人者である松本慎一先生(日本初の膵島移植医で医療用ブタ開発のために自ら法人まで立ち上げられました)より毎月報告していただいています。
第3回は、松本慎一先生の新しい門出と”神の手”とまで言われる先生の膵島分離技術のAIによる再現についてです。
バイオ人工膵島移植の進捗(第3回)
4月は、新しい年度の始まりですが、私にも大きな変化がありました。長年勤めていた大塚製薬工場を3月に退職し、Arithmer株式会社に入社しました。
Arithmer社は、「数学で社会課題を解決する」会社です。「なぜ、数学の会社?」と不思議に思われるかもしれません。
膵島移植には、いろいろな工程がありますが、その中でも最も熟練を要する工程が、「膵臓を消化して膵島を取り出すために、膵臓をリコルディーチャンバーという容器に入れて、30分以上振り続ける」作業です。実際に膵臓の消化具合を顕微鏡で観察しながら、振る強度や方法を変化させます。1kg近いチャンバーを30分以上振り続けるので、結構疲労しますし、人だとばらつきが出ます。
この作業を、Arithmer社は、数学的に解析しAIロボットに再現させることに成功したのです。そこで、膵島分離工程を、AIを使って再現性の高いものにし、量産につなげようと考え、Arithmer社に入社しました。
First in human(人への最初の移植)から産業化する(希望する全ての患者がバイオ人工膵島移植を受けられる)ための、私の新しい門出です。
もちろん、一般社団法人医療用ブタ開発機構のプロジェクトも着実に進めています。将来的には、医療用ブタ量産にもAI技術を導入したいと考えています。
引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。
◇松本慎一先生連載記事
▶ 【第1回】バイオ人工膵島移植の進捗状況(松本慎一先生)
▶ 【第2回】バイオ人工膵島移植の進捗状況(松本慎一先生)
▶ 【第3回】バイオ人工膵島移植の進捗状況(松本慎一先生)
バイオ人工膵島移植の研究を続ける国立健康危機管理機構の霜田雅之先生にも、毎月報告していただいております。合わせてご覧ください。
◆霜田雅之先生連載記事
▶ <第1回>バイオ人工膵島移植の進捗状況(霜田雅之先生)
▶ <第2回>バイオ人工膵島移植の進捗状況(霜田雅之先生)

名前:松本慎一
神戸大学大学院医学研究科 客員教授
日本IDDMネットワーク理事
日本初の膵島移植医