もうすぐ夏本番!ツルンとなめらか美肌に!インスリンポンプの皮膚トラブル対策

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この度、インスリンポンプ利用者から寄せられた皮膚トラブルの対策について、実際に数多くのインスリンポンプを利用している患者の皆さんを診られている「D Medical Clinic Osaka」院長の広瀬正和先生に情報提供をお願い致しました。

これから梅雨や夏本番を迎えるにあたり、先生からの情報を参考に、予防や対策を行って快適にインスリンポンプを利用していきましょう!

 

<はじめに>

1型糖尿病でインスリンポンプを使用している患者さんから、皮膚トラブルに困っているという相談を受けることがあります。持続血糖モニタリング付きインスリンポンプ(SAP)療法の患者さんはポンプとセンサの2か所の穿刺が必要になりますので、スキントラブルが多くなります。これから夏に向けて、トラブルなくかぶれ対策をして良い皮膚の状態をキープすることも良い血糖コントロールにも役立ちます。

 

<ポンプの注入セット>

インスリンポンプは基本的に3日に1回の注入セットの交換が必要とされています。しかし、暑くなり、多量の汗をかくようになると、高血糖でインスリンの効きが悪くなってしまい、注入セットを抜いてみると、細菌感染していて膿んでいることがあります(図1)。

特に夏場は穿刺前の消毒をしっかり行うことが必要です。トラブルを避けるためにアルコール綿でしっかり拭いてから穿刺するようにしましょう。どうしても3日目には血糖値が上がってしまう人は2日毎の交換が必要になる場合があります。

 

<SAPのセンサトラブル>

インスリンポンプの注入セットとSAPのセンサでは、SAPセンサのほうが、皮膚かぶれの頻度は多く起こります。センサを留めるオーバーテープがかぶれやすく、私の患者さんでも、1日で赤く腫れてしまった患者さんがいらっしゃいます(図2)。

 

<かぶれを防ぐために>

① 軟膏を塗る
ポンプやトランスミッタを交換したときに、すぐに炎症を抑える軟膏を塗る方法が最も簡便です。私はステロイド入りの軟膏を処方しています。リンデロン®、キンダベート®、ロコイド®などの軟膏はステロイドの軟膏の中でも強度は弱めなので、数日塗るくらいで副作用が出ることはほとんどないので、テープを貼ってあった部分に1日に2回程度薄く塗っておくとかぶれの予防に有効です。

 

② 他のテープを使用する
トランスミッタのオーバーテープを別のテープに変更する方法は簡単です。病院で点滴をとめる為のテープは皮膚に優しい素材が使われていることが多いので、かぶれや赤みの程度が軽くなることがあります。皮膚への刺激は軽減される一方で粘着力は落ちるので、途中ではがれてしまう可能性があるので注意は必要です(図3、図4)。

③ 皮膚保護剤を使用する
皮膚とテープの間に保護膜を作ってしまう方法があります。人工肛門(ストーマ)管理が必要な患者さん向けの皮膚保護剤を使用します(図5)。保護剤にはスプレータイプと塗るタイプがあります。皮膚に保護剤を先に塗っておくと、皮膚の上に薄い膜を作ってくれます。その上からセンサやポンプの注入セットを穿刺します。ポンプの注入セットのシール部分、トランスミッタのオーバーテープの部分に保護膜を作っておくとかぶれにくくなります。

注意点としては、テープやストーマの皮膚保護剤は、保険診療で認められているわけではありませんので、薬局やインターネットなどで購入されて使う必要があります。また、いろんなテープや皮膚保護剤がありますが、どれが、一番良いという明らかなものはなく、各患者さんによって、かぶれやかゆみがましになったという素材が違うこともありますので、いろいろ試しながら肌に合うものを見つけていくことが必要です。

 

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