「バイオ人工膵島移植プロジェクト」 参画の明治大・長嶋教授、糖尿病の合併症をブタで再現成功
明治大学の長嶋 比呂志教授らは遺伝子を操作したブタを用いて、糖尿病の合併症を再現したと日本経済新聞が報じています。
詳しくは日本経済新聞をご覧ください。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16987460Y7A520C1TJM000/
長嶋教授はバイオリソース国際インスティトュートの所長でもあり、日本IDDMネットワークによる 「バイオ人工膵島移植プロジェクト」 に賛同し、医療グレートのブタ飼育や病原体を持たない「医療用ブタの作製に必須となるオペ室や無菌飼育室の設備整備に関する研究」を推進しています。同プロジェクトは、ヒト移植用に無菌に近い状態で飼育されたブタの膵島細胞をカプセルに閉じ込め、患者の体内に移植する治療法の実現を目指して現在も進行中です。
ブタは臓器の大きさや血糖値が人に近いとされ、遺伝子操作を施したブタは比較的早期に症状が現れるため、研究に活用しやすいとのことです。一方でマウスに比べて大型のブタでの遺伝子改変は困難でしたが、遺伝子工学技術の進歩によって成功率が向上しました。研究では遺伝子操作をしたブタが糖尿病を発症し、飼育を続けるうちに血管がもろくなり、やがて網膜症や腎不全などといった合併症を起こしました。
これまでマウスなどの小型動物では合併症の再現に成功していましたが、ブタのような大型の哺乳類では初めてのことで、合併症へと進んでしまう仕組みの解明や治療法の研究に役立つとされています。
なお、日本IDDMネットワークでは2015年より 「バイオ人工膵島移植プロジェクト」 における研究助成目標額 1億5千万円の調達の目途がついたとしています。バイオ人工膵島の開発研究に加えて、医療用グレードのブタを育成するための施設整備、そこで育つブタの感染症検査体制の構築、その医療用豚をもとに実際にヒトに用いる膵島を作り出すCPC(細胞加工センター)整備という基盤の整備がされています。
■ 出典
株式会社日本経済新聞社 日本経済新聞