1型糖尿病治療ワクチンの研究開発が着実な進展を見せる!論文掲載のお知らせ

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国際的速報媒体 『FEBS Letters』 に1型糖尿病研究基金から助成を受けた研究テーマの関連情報が掲載!

大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座の中神 啓徳教授を代表とする研究チームでは、 「1型糖尿病治療を目指したDNAワクチンの基盤技術の開発」 を行っています。この度、学術誌 『FEBS Letters』 にマウスの1型糖尿病に対するGFAP-KLH免疫寛容化ワクチンの可能性における評価が掲載されました。

この研究は日本IDDMネットワークによる 「1型糖尿病研究基金」 から研究助成されたテーマです。この度『FEBS Letters』 という歴史ある国際的な速報媒体に論文が掲載されたことで、新規治療ワクチンの研究開発が進展を見せていることを知らしめました。

この研究の主眼は1型糖尿病治療を目指す新規治療ワクチンの開発にあります。

1型糖尿病に対するワクチン研究は、これまで膵臓ベータ細胞のGad65 に対するワクチンなどが研究され、動物実験では非常に良い結果を得ていました。しかし、2012年度当時においてヒト臨床試験では良い結果が得ることができず、研究チームでは新しいワクチンを設計して免疫反応を整える(免疫寛容)ことにより、膵臓への攻撃を断ち切ることを目的として研究を進めてきました。

 

■ 研究概要

0206002
(https://japan-iddm.net/data/grant/2012_OsakaUniv.pdfの情報を元に作図)

論文の要旨は概ね以下のとおりです。

シュワン細胞で発現されるグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)は、1型糖尿病の治療のための新規標的である。 研究チームでは、高血糖を首尾よく抑制しCペプチド分泌を増強するGFAP免疫寛容化ワクチンを設計した。 GFAPワクチンは、膵島へのT細胞の浸潤を有意に防止した。 さらに、GFAPワクチン接種後、ナイーブT細胞分化は、細胞毒性Th1からTh2に偏った体液性応答にシフトした。 これらの結果は、新規標的として、GFAPがT1DMの発症を確実に予測し、GFAPワクチンがT細胞分化を調節することによってT1DMの進行を首尾よく遅延させることを示す。(出典:FEBS Letters

研究チームでは2020年以降を目標に、新薬の開発を経て最終的に新規治療ワクチンの開発を掲げています。

研究により、さまざまなタイプの1型糖尿病(劇症1型糖尿病や緩徐進行1型糖尿病)へ GFAP 抗体がどのように関与するか解明できれば、早期診断マーカーとして診療に応用できる可能性があります。論文では日本IDDMネットワークへの謝辞も掲載いただき、このように多くの支援者の方々の力で、着実に研究は前進を見せています。

 

■ 出典
認定特定非営利活動法人 日本IDDMネットワーク https://japan-iddm.net/data/grant/2012_OsakaUniv.pdf

 

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