風に冷たさを感じる季節になりました。日によって寒暖の差が激しく、体調を崩す人も多く見られます。少し咳や鼻水が出る、体がだるく熱っぽい……この時期に起こりがちな体調不良ですが、糖尿病患者さんやその予備軍の方にとっては要注意です。ちょっとした風邪だと油断しないよう気をつけなければなりません。
糖尿病は風邪を引きやすく、治りにくい 予備軍は発症の引き金にも
その理由は糖尿病と風邪の深い関係性にあります。糖尿病の代表的な合併症としてよく知られている疾患に、感染症が挙げられます。血糖値が高いと免疫力が低くなることで、病気に感染しやすく、当然風邪も引きやすくなってしまいます。また、体内で炎症が起こることによって、筋肉や臓器が血中のブドウ糖を吸収・処理する働きが低下、インスリンの働きが阻害されます。そのため血糖値があがって血流が滞り、病気を治そうとする白血球の動きも鈍化します。
つまり、糖尿病の患者さんは風邪を引きやすく、なかなか治らずに悪化させてしまう可能性が高いのです。場合によっては軽い風邪から気管支炎、肺炎となって入院に至ることもあります。
さらに、糖尿病予備軍の方は、風邪から高血糖の状態となり、そうと気づかずに放置したことによって、一気に糖尿病を発症する危険性も内包しています。
?「薬を飲んでおけば治る」 も要注意 服用前に医師や薬剤師に相談を
たかが風邪だと放っておくと、予想外に長引いてしまい、思わぬ合併症や糖尿病の発症を招いてしまうかもしれません。早めに症状を改善する必要があります。
しかし、糖尿病の患者さんやその予備軍の方にとっては、 「風邪薬」 にも注意が必要です。鼻づまりを治療する成分として総合感冒薬や鼻炎薬に配合されている 「プソイドエフェドリン」 は、交感神経刺激作用を持ち、グリコーゲンの分解を促進して血糖値を上昇させてしまいます。また、インスリン分泌を変化させることによって、血糖コントロールを困難にする恐れもあるともいわれています。
その他、 「フェニレフリン」 、 「メチルエフェドリン」 、 「メトキシフェナミン」 、漢方成分の 「麻黄」 などにも同様の作用があるため、風邪薬に含まれているかどうか、服用前に医師や薬剤師に確認することが重要となってきます。
季節柄、風邪を引く人も多くなってきました。元気に冬を過ごすため、その症状や薬に対するリスクをしっかりと把握し、予防と治療に努めることが大切です。
■参考
株式会社日刊現代 日刊ゲンダイDIGITAL
倉敷平成病院 ブログ倉敷平成病院だより
株式会社WEB企画 健康生活