米グーグルの持ち株会社であるアルファベットと、フランスの製薬会社のサノフィ。この2社による糖尿病治療の合弁会社オンデュオに約5億ドル(約510億円)を投じる計画が明かされました。
両社の提携は昨年8月に発表されており、今年2月には欧州連合(EU)の欧州委員会によって事業を承認されています。
早くから糖尿病治療に貢献 グローバルに展開するサノフィ
今回ニュースとなったサノフィ株式会社は、フランスのパリに本拠を置く製薬・バイオテクノロジー企業です。成長基盤の中核をヘルスケア分野7つに置き、そのひとつに糖尿病治療を挙げています。
サノフィの糖尿病に関する取り組みは早く、グローバルにおいては、インスリンの発見からわずか2年後の1923年にはインスリン製剤の発売を開始。その後、今日に至るまで世界の糖尿病治療に貢献してきました。
また、経口血糖降下剤やインスリン製剤の提供だけでなく、インスリン注入器に関して24時間対応可能なコールセンターの設置や、世界糖尿病デーにイベントを開催するなど、病気へのサポートや啓発運動も実施。その他、病気をわかりやすく解説した『糖尿病がよくわかるDM TOWN』や、インスリン治療の不安解消を目指した『よくわかるインスリン』などのサイトを運営しており、症状や治療に関する情報提供にも力を入れています。
子ども向けに1型糖尿病を説明するデジタル紙芝居『とうにょうびょうのおはなし』(監修:大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室 講師 川村智行先生)も患者のご家族に喜ばれているコンテンツの1つです。
情報技術と医薬品の連動を目指すアルファベット
一方、グーグルの持ち株会社である大手IT企業アルファベットは、その傘下にベリリー・ライフ・サイエンシズを置いています。以前もご紹介した通り、ベリリーは英製薬大手グラクソ・スミスクラインとも合同会社を設立、糖尿病治療に有用であると考えられている新治療法バイオエレクトロニクスの研究・開発を進めています。
今回、サノフィとの提携において目指すのは、機器とソフトウエア、医薬品の連動。具体的にはサノフィの持つインスリンの製造技術とアルファベットの生命科学部門(ベリリー)の情報技術を活用することで研究を前進させ、より効果的な治療方法を具体的な製品開発につなげるとしています。例えば血液中にある糖の濃度を素早く把握できる製品を商用化し、医師の迅速な治療を可能にする。そうすることで、長期治療による合併症を回避し、治療費の低減も実現できるという考えを示しています。
糖尿病のモニターや治療法が前進しているのはもちろんのこと、積極的な投資で事業展開を行うアルファベットと糖尿病関連世界2位のサノフィが協力することで、さらなる発展の加速が予想され、新たな製品・治療法の発表が、世界中で待たれています。
■ 参考
サノフィ株式会社 公式HP
msn 米アルファベットと仏サノフィ、糖尿病合弁に約510億円投資へ
株式会社日本経済新聞社 日本経済新聞
サノフィ、グーグルと糖尿病治療で提携
サノフィ・アルファベット合弁事業を承認 EU、糖尿病治療で