認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワークは、2018年12月2日(日)に菊池郡大津町(熊本県)にて「大津町健康シンポジウム〜第2回IDDMこども会議〜」を開催しました!
町内外から駆けつけてくださった参加者はもちろん講師やパネリストの皆様、関係各位に改めて御礼申し上げます。
1型糖尿病のこどもたちが大活躍!
今回のIDDMこども会議では、1型糖尿病の子どもたちがメッセージの手紙朗読だけでなく司会進行やパネリストも務めてくれました。
緊張しながらも真剣に話す子どもたちの声にこたえるように、参加者も真剣に話をきき、自分のこととして考えてくれていたように思います。
「あんな子どもたちが発症する1型糖尿病という病気を初めて知った」「子どもたちが頑張っているから私も頑張ろうと思った」など1型糖尿病の子どもたちのおかげで、糖尿病について今一度考える機会にすることができました。
1型糖尿病患児からのメッセージ
会の中で1型糖尿病患者のみさきちゃんが、家入勲大津町長にこどもたちを代表してメッセージを伝えてくれました!
私たちの夢は、注射を打たないでご飯を食べれるようになることです。
それは私たちは、「1型糖尿病」という病気だからです。
この病気になってから、ご飯を食べる前には、血糖値を測ったり、注射を打ったり、ポンプでインスリンを入れたりしないといけません。
ご飯を食べる量を決めて、それに必要なインスリン量を決めて注射などをします。インスリンの量が多いと低血糖になって、頭がボーッとなったり、眠くなります。
インスリンの量が足りないと高血糖になって咽が渇いたり、体がだるくなります。
インスリンの量によって、血糖値が変わるので量のコントロールが難しいです。だけど私たちは、学校でも給食を食べる前には、頑張って注射などをしています。
毎日、毎回、注射などをするのはとても大変です。
何も考えなくても注射を打たなくてもいい人はいいなぁ〜と思います。でも、私たちも頑張るので応援よろしくお願いします!!
お友達のかほちゃんにマイクを持ってもらいながら、一生懸命に1型糖尿病患者の現状を話してくれました。そんなみさきちゃんのメッセージに家入勲大津町長は下記のように力強くお答えいただきました。
このような思いで治療をしながら、皆さんが頑張って生活されていることがわかりました。
大津町としては、糖尿病を治療しながらも生活しやすい町づくりをするために、まずは、糖尿病という病気を正しく町民に知ってもらうこと、そして、糖尿病という病気を少しでも減らすために、早期発見、早期治療につなげる取組みを行っていきたいと思います。
その後は、来場していた1型糖尿病の子どもたちと記念撮影を行いました。熊本の1型糖尿病のお子さんがこんなに集まることはなかなかありません。病気を発症して初めてこのような場に参加してくれた患児もいたそうで、今回の出会いが彼らの今後に役に立てばいいなと思います。
講演「糖尿病について知ろう!」
一般の方向けの講演会では、糖尿病専門医でもある西田健朗氏(熊本中央病院内分泌代謝科部長)にお話しいただきました。
西田先生は、熊本地震のときに県内の1型糖尿病患者のインスリンの備蓄状況をいつも気にかけご連絡いただいたり、熱心に避難所を廻っていただいたりしてくださりました。
そんな素敵な人柄の西田先生の講演会は、糖尿病に関する噂話にウソ or ホントで答えていくクイズ形式もあり、来場された方も楽しく参加していただくことができました。知っているつもりになっていた糖尿病について正しく知る機会となり、講演終了後も先生は参加者からの質問攻めにあっていたようです。
パネルディスカッション
講演後のパネルディスカッションには、3人の1型糖尿病のこどもたちからの質問に講演をいただいた西田健朗先生が医療従事者の立場で、はるばる神戸からお越しいただいたNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事の西川伸一氏が研究者の立場で、日本IDDMネットワークの井上龍夫理事長が患者・家族、そして支援団体の立場で答えていただきました。
患児たちは、普段持ち歩くインスリン注射を入れたポーチを紛失したときの不安や部活動などに取り組む際の血糖コントロールへの苦悩などを話してくれ、先生方は災害時での対応の仕方や今後インスリンを持ち歩かなくても良くなるような最新の研究についてのお話しをいただき、患者の現状と最新の治療・研究について学びを深められる時間となりました。
患者による体験談
患者の気持ちや生活について知っていただく機会とするために企画した講演では、「幸せ料理研究家こうちゃん」として知られている相田幸二さんにお話しいただきました。
まだ発症してからまだ1年経っていない相田さんですが、たくさんの料理本などを出版されていることもありファンの方も来場されていました。
突然発症した1型糖尿病への不安、そして、全国からのお手紙に励まされ今に至っていることなどをお話しいただき、勇気づけられた参加者も多かったのではないでしょうか。
講演後の質問で、美味しい料理のコツについて聞かれると、料理の苦手な方の特徴はアレンジをしたがることであり、まずはレシピ通りに作ってみましょうというお話しに会場の皆さんは大きくうなずかれていました。
その他のこども会議の様子
1型糖尿病患者・家族や大学生によるボランティアや大津町職員、NPO法人クラブおおづの皆さまのご協力をいただき、全体を通してアットホームな会となりました。上記で紹介しきれなかったプログラムを写真とともに簡単にご紹介します。
オープニング
日本IDDMネットワークの井上龍夫理事長と大津町の家入勲町長によるあいさつのあと、開催地大津町のオリジナル体操「からいも君体操」を大村詠一専務理事やダンススタジオSmileBox、大津町のスポーツ推進委員の皆さんが披露しました。参加者も一緒に体を動かし、体で「O」「Z」「U」と文字を作る振付に会場が盛り上がりました。
ブルーサークル弁当を食べながらの交流
昼食には、1食600kcal以下のブルーサークル弁当が準備され、味わいながら参加者の交流が行われていました。初めて食べた方も多く、こんなに食べても大丈夫なんですねと驚かれている方もいました。
大津町と日本IDDMネットワークの取り組み紹介
大津町役場住民福祉部健康保険課健康推進係の上田雅子係長からは大津町民の糖尿病患者数などの実態や検診の開催状況についてお話され、早期受診を促されていました。
日本IDDMネットワークからは大村詠一専務理事が、現在は2型糖尿病の治療として早期のインスリン導入があることを伝え、インスリン注射が必要な2型糖尿病患者向けの希望のバッグについて紹介しました。
また、1型糖尿病を治る病気にするために研究助成を行っており、佐賀県への日本IDDMネットワーク指定のふるさと納税で応援してほしいことを呼びかけました。
抽選会
閉会前には、佐賀県への日本IDDMネットワーク指定のふるさと納税の御礼の品や大津町の特産であるカライモ(さつまいも)をかけて抽選会が行われました。佐賀牛をかけたじゃんけんに会場は大盛り上がりでした。
ブルーサークル作成
閉会後には、1型糖尿病の患児を中心に国連が定めた世界糖尿病デーのシンボルマーク「ブルーサークル」を作成しました。関係者がみんなで協力し、糖尿病とうまく付き合いながら将来の治療法の改善へ向けて研究が進むことを願います。
大津町健康シンポジウム〜第2回IDDMこども会議〜は、以下の企業・財団のみなさまのおかげで開催することができました。
<協賛>
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社様
日本イーライリリー株式会社様
日本メドトロニック株式会社様
<助成>
テルモ生命科学芸術財団