厚生労働省によって全国の糖尿病の死亡率ランキングが発表されるようになり、下位の都道府県は危機感を持つと同時に改善に努めるようになりました。また、上位にランクインした地域でも、ますます効果的な施策の模索・実行に励んでいます。今回はそんな各都道府県による新たな取り組みをご紹介します。
徳島県で 「糖尿病看護認定看護師教育課程」 第1期生の入学式が開催
まずご紹介するのは、 「2015年人口動態統計月報年報」 でワースト5位にランクインしてしまった徳島県。毎日新聞報道によれば、5月8日、徳島文理大地域連携センター で?「糖尿病看護認定看護師教育課程」 の第1期生の入学式が執り行われました。式には入学生15名が出席し、飯泉徳島知事や洪日本看護協会常任理事、森山徳島県看護協会長の激励を受けたといいます。
「糖尿病看護認定看護師教育課程」 とは本年度より開設された、糖尿病に関する熟練した技術と知識で看護にあたるエキスパートの育成を行う養成課程のことをいいます。対象となる5年以上の看護師経験者15名は、5月~11月の半年間で糖尿病看護についての技術・知識を学び、受講後は日本看護協会の試験を受験、合格することで認定看護師資格を得ることができます。
徳島県内で認定看護師の育成過程が設けられるのは今回が初。これは同県が 「糖尿病」 をはじめとして、 「感染管理」 や 「皮膚・排泄ケア」 など21の専門分野がある認定看護師の数が5月1日時点で105名と全国で最少となっていることから、改善に乗り出したものと見られています。
埼玉県の川口市内18の薬局にて無料の血糖値簡易検査がスタート
次にご紹介するのは、「2015年人口動態統計月報年報」で10位にランクインし、「埼玉県方式」という糖尿病性腎症重症化予防プログラムを実施するなど、改善施策に積極的な埼玉県。
日経新聞の記事によれば、埼玉県は2017年度より川口市の市内18の薬局で、「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」と呼ばれる過去1~2ヶ月の血糖状態を把握できる糖尿病管理に不可欠な指標の簡易検査を無料で開始したとしています。これは糖尿病の早期発見を図るもので、40歳以上の市民を対象に年に1回無料で検査を受けることができます。検査の方法は指先からごく少量の血液を採取、発病リスクがどの程度かを約15分という短時間で診断することが可能だといいます。検査に先立って食事を控えるなどの制約はなく、結果によって薬局の各種検診の情報提供や健康相談も受けることができます。
埼玉県はこの施策によって 「かかりつけ薬局」 をつくり、普及させることで糖尿病重症化やその医療費の削減を目指すものと考えられています。
■ 参考
株式会社毎日新聞社 毎日新聞
株式会社日本経済新聞社 日本経済新聞 電子版
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
徳島文理大地域連携センター 公式 HP