年末年始は体重コントロールだけでなく、筋肉にも注目してみよう!

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クリスマスから忘年会、年が明ければ新年会と、年末年始は何かと食事バランスが乱れがちな時節です。外食の機会も増え、ご馳走やアルコール摂取もおめでたい席だからとなかなか自制が難しくなるシーンも多いもの。この時季の食べ過ぎで体重増加…という話はよく聞きますが、気をつけたいのはもう一つ、「筋肉量の減少」 です。

 

筋肉と糖取り込み調節機構の関係性に注目

気温が下がり代謝が落ちていることに加え、寒いのであまり体を動かずにコタツでごろごろするなど、食事バランスの乱れと共に運動量がめっきり減ってしまいます。

よく知られているように、2型糖尿病では運動療法が治療の一つに挙げられますが、筋肉量を増やす意味でもメリットが大きいものです。血液中の余分なブドウ糖は主に筋肉に取り込まれますが、筋肉の量を増やすことでブドウ糖の取り込み容量も増えるため、血中でブドウ糖が余りにくくなります。結果として筋肉量を増やすと高血糖を防ぐことが期待できるというわけです。

2011年には筋肉の新しい糖取り込み調節のメカニズムが解明されています。

(参考:東京大学学院医学系研究科 / 医学部附属病院 糖尿病・代謝内科の門脇 孝教授、窪田直人特任准教授、国立健康・栄養研究所の窪田哲也研究員らの研究グループによる研究について

肥満型の人は、健康な人よりも筋肉でのブドウ糖取り込み量が低下するとも言われており、筋肉量を増やすために運動をすることで肥満の解消にもつながり、好循環が期待できます。

 

骨格筋は血糖利用が最大の臓器という事実

さらに首都大学東京の運動分子生物学研究室による研究では、興味深い事実が研究により明らかにされています。臓器別にインスリン作用の大きさを調べると、健康な人では糖の約7割以上が骨格筋で利用されていることがわかりました。一方、糖尿病患者では全身での総利用量が健康な人の半分ほどに低下しており、その原因として骨格筋での利用率が低下したためとされています。研究室では 「骨格筋はインスリンの主要な標的であり、血糖を利用してくれる最大の臓器といえる」 としています。

また、骨格筋を収縮させることで糖取り込みが起き、その効果はインスリンに匹敵する強力なものとしています。

驚くことにその調節は、インスリンの細胞内情報伝達を介さない独自の経路で行われる。つまり筋収縮は、生体内唯一の血糖降下ホルモン(インスリン)とは異なるやり方で、血糖値を下げるのに貢献する(出典:首都大学東京 人間健康科学研究所 ヘルスプロモーションサイエンス学域 運動が糖尿病を抑制する分子機序の解明より

少し難しいですが要するに、インスリン分泌が少ないタイプの糖尿病患者であっても筋収縮で糖取り込みが起こり、血糖値を下げる効果を期待できるということ。

 

骨格筋は筋トレで鍛えることが可能!

骨格筋とは、自分の意思で体を動かす際に収縮を起こし使われる筋肉のことで、たとえば歩く際や起き上がる際など、自分で動きをコントロールできるもの。骨格筋を鍛えるのに有効とされるのは無酸素運動、つまり筋力トレーニングです。

続けられないほどハードな筋トレをする必要はありません。少しずつ筋力アップが望めて継続できるやさしい運動を、この年末年始から意識してみませんか?新年の計は元旦にあり、とも言います。毎日スクワットを30回ずつ、慣れたら少しずつ増やしてみるなど、自分に合った運動を工夫してみてはいかがでしょうか。

 

■ 出典

東京大学大学院医学部研究科 東京大学医学部付属病院 プレスリリース

首都大学東京 人間健康科学研究所 ヘルスプロモーションサイエンス学域 運動分子生物学研究室

 

首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域

首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域

 

 

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