サノフィ株式会社が、日本における1型糖尿病患者の第1度近親者(下記の図参照)を対象とした1型糖尿病発症前のステージ分類に基づく臨床研究(※)である「PREP-T1D」を開始されました。
※臨床研究とは?
臨床研究(試験)とは、治療薬や医療機器の開発、病気の原因や予防の仕方、新しい治療方法を開発したり、患者の QOL(生活の質)の向上を目的に、人に対して行う医学研究です。
現在の治療方法や治療薬も、過去に臨床研究された多くの患者の協力により開発されました。未来の医療の質を高めるためにとても重要な研究です。
■研究の背景
最近の研究によって、1型糖尿病は段階的に進行することがわかっており、欧米では膵臓の細胞に関連する複数の自己抗体(※)や血糖値の変化を測定して、「ステージ1」 「ステージ2」 「ステージ3」 に分類されます。
現在日本では症状のあるステージ3相当の段階に進行してから医療機関での治療が始まることがほとんどですが、ステージ3に進行する前の段階を把握することで、発症前から経過を知ると同時に、発症前から心理的に準備を整えることができたり、またいざ発症した場合にも症状が出る前の早い段階で診断できる可能性が高くなります。
また、 医師の診療を適切な時期により早く受けることは、症状が悪化するリスクの軽減につながることが期待できます。
※自己抗体とは?
体にはウイルスなど外から侵入する敵(抗原)に対して抗体(ウィルスなどを攻撃したり体外に排除するタンパク質)が作られ自分を守る働き(免疫)があります。しかしながら免疫が異常を起こすと自分の細胞を抗原(敵)と認識した抗体(自己抗体)によって1型糖尿病のような自己免疫疾患を引き起こすことがあります。
■研究の目的
こうした背景から日本においても、1型糖尿病患者の第1度近親者で、1型糖尿病を発症していない人を対象に、1 型糖尿病の発症に関連する自己抗体の有無や血糖値を調整する能力を評価し、日本での「ステージ1」や「ステージ2」相当の有病率を調査するこの「PREP-T1D」が開始されました。
※この研究では、1型糖尿病患者(発端者)からみて、両親・兄弟・姉妹・子供が第1度近親者にあたり(図:緑の枠内)、法律上の第一親等(両親、子供)とは定義が異なります。
■研究の社会的意義
この研究に対し、研究代表責任医師である、富山大学附属病院 臨床研究開発推進センターの中條大輔教授は、その意義について、「日本初の研究は、日本で1型糖尿病の発症抑制や重症化阻止に関する新しい治療法の開発を目指すうえで、その基盤となる大変重要な研究です」とコメントされています。
この研究は患者本人が調査対象ではなく、健康な「患者のご家族の方」が対象です。患者のご家族(親、兄弟・姉妹、お子さん)が今後1型糖尿病発症のリスク(可能性)を持っているかの調査であることを理解したうえでご協力ください。
この調査結果により、将来的には1型糖尿病発症予防薬の開発につながる可能性もあり、そこに向けた重要な社会貢献とも言えると思っています。
■研究に参加できる方
・家族(お父さん、お母さん、兄弟、姉妹、 お子さん)に 1 型糖尿病患者がいる方
・自身が糖尿病患者ではない方
・現在の年齢が 49 才までの方 (お子さんでも参加可能です)
■関連情報および問い合わせ窓口
興味のある方やこの研究へ参加を希望される方は、以下の情報をご確認ください。
サノフィ株式会社プレスリリース:
https://www.sanofi.co.jp/ja/media-room/press-releases/2024/1010
本研究のホームページURL:
http://mrl-type1diabetes-lp.s3-website-ap-northeast-1.amazonaws.com/clinical-trial/index.html
本研究のUMIN-CTR 臨床試験登録情報:
https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000062861
この研究に関する問い合わせは下記窓口までご連絡をお願いします。
問い合わせ先:
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社 PREP-T1D(ぷれっぷてぃわんでぃ) 研究窓口
(1型糖尿病を有する方のご家族様の研究相談窓口) 宛
お電話番号:0120-363-017
(平日・土日祝日 9:30 ~ 17:00)
コールセンターからご案内を希望される方は以下のリンクへ
https://192a0ec9.form.kintoneapp.com/public/a06139edb838ea335fdb93833048d5eb73ac1dee8567c3b35121c24ad312498f