その足先の冷え、感覚の鈍りや痛みがあれば要注意。
大寒を過ぎ、もっとも寒さが厳しいとされる2月を前に、冷えで悩む方は多いのではないでしょうか。特に末端冷え性と言って、手足の指先に症状を感じるケースもよく耳にします。特に糖尿病患者にとって足のしびれや冷えは、大きな病気のサインとして普段から特に気をつけることが大切です。
情報サイト 「All About」 によると、足潰瘍患者の約50%が末梢神経障害によるもの、約20%が血流障害、残りの約30%が末梢神経障害と血流障害を併せ持つ患者と考えられています
糖尿病の三大合併症の一つに糖尿病性神経障害があります。主に末梢神経障害と自律神経障害とに分けられ、現れる症状としては立ちくらみや便通異常、しびれや痛みなどが比較的初期の症状とされています。末梢神経には痛みや温度を感じる感覚神経があります。手や足の先端から症状が現れ、虫が這っているような感覚やしびれ、痛みなどの知覚における異常を感じるようになります。感覚に異常をきたしていることで、小さなケガや低温やけどなどに気がつくのが遅れ、化膿して悪化させてしまうと壊疽を起こしてしまうことにもなるのです。
自律神経が影響するのは、体のすべてといって差し支えがありません。内臓や血管、呼吸や代謝、消化や分泌など生命を維持するうえで保たれている機能を調節しています。そのため、自律神経に異常をきたすと便通異常や胃もたれ、立ちくらみなどの症状が現れます。注意が必要なのは、低血糖時に通常現れる、発汗や動機といったサインを感じられないと重症化してしまうことがあります。
足にも起きる動脈硬化 「閉塞性動脈硬化症」 はハイリスク疾患。冷えやしびれの予兆をチェックしよう
もう一つ、糖尿病患者で足先の冷えを訴える場合に考えられる原因が、足の動脈に異常が起きているケースです。血液は全身をめぐる血管、毛細血管によって酸素と栄養をすみずみまで送り届ける役目がありますが、足の動脈は、足の指先に向かっています。もし足の動脈が途中で詰まってしまうと、詰まった箇所から指先まで血液が十分に届けられずに酸素不足、栄養不足となってしまいます。血管が詰まると次第にしびれ、冷え、だるさなどが現れ閉塞性動脈硬化症へと進展してしまいます。この場合も冷えは重要なサインとなりますので、ただ単に冷え性なのだと自己完結せずに、血糖コントロール状況と照らし合わせて異常がないか発見することが大切です。
国立循環器研究センター 循環器情報サービスのwebサイトによると、「歩行」 は治療として有効だとのこと。
歩くことは動脈硬化の進行を抑えるだけではなく、閉塞性動脈硬化症の治療としても効果があります。先に述べた間欠性跛行は、毎日歩くことで、少しずつ歩ける距離が長くなります。(出典:[52] 足の血管病 その検査と治療より)
閉塞性動脈硬化症は悪化すると最悪の場合、足の切断という事態にもなる深刻な疾患です。現在では血流と血行を再建する外科手術による治療法も確立されていますが、やはり大切なのは重症化する前の予兆を見逃さないこと、普段から血糖コントロールを適切に行うこと、そして歩行運動により下肢の血流促進を心がけることと言えます。
■ 出典、参考
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
株式会社オールアバウト All About
国立研究開発法人国立循環器病研究センター [52] 足の血管病 その検査と治療