今やリスクマネージメントの一つに挙げられる 「健康経営」 。社員の健康増進が生産性や収益性を向上させ、企業価値を高めるという考え方から、健康配慮に取り組む企業が増えています。厚生労働省などはこれを推奨、平成26年度から 「地域健康増進促進事業」 を公募するなど、自治体や民間団体による支援も開始されており、今や地域ぐるみで企業に働く人々の健康づくりを促進しています。セルフメディケーションの時代と言われ、いよいよ個人での健康管理を問われる状況にあって、国や企業、自治体の取り組みが盛んになることは心強いことです。
自治体・民間団体が企業の健康経営を支援する理由とは?
厚生労働省の調べによれば、平成26年度の国民医療費は40兆を超えており、前年度と比較しても1.9%の増加となっています。その原因は高齢化だけではなく、長期間の治療を必要とするがんや糖尿病など生活習慣病患者の増加が考えられます。国の財政健全化のために、増大する社会保障費への対策が急がれています。
こういった状況を改善するために、自治体や民間団体も動き出しました。たとえば北海道の岩見沢市は 「健康経営都市宣言」 をし、健康経営をまちづくりのテーマとしています。それはまち全体のポテンシャルを引き出す 「自立した自治体づくり」 を目指すためだとしています。
このような活動は地域の健康施策を進めると同時に、有効な事例・ノウハウを集めて、これから対策に取り組む企業の参考にできるという利点があります。また、自治体や民間団体などの自由な発想で、地域の特色・特性に沿ったサポートが行えれば、より効果的な健康経営を推進できるものと考えられます。
実践的な手法を伝え、地域に合った具体的な施策展開を目指す
そして2月13日、新たに 「あいち健康経営会議」 が発足、名古屋市にて第1回のシンポジウムが開かれました。ここでは国の政策の説明のほか、ブラザー工業など地元先進企業の取り組みなどが紹介され、企業の労務担当者や自治体関係者ら約250人が参加したといいます。
あいち健康経営会議は他の自治体等の活動を参考にしたもので、毎年経団連会館で開催されている「健康経営会議」 や、昨年11月11日に開催された 「よこはま健康経営会議」 をモデルとしています。そのため、今後の横展開にも期待が寄せられます。
企業・自治体・保険者が連携した本シンポジウムは、健康経営を実践する手法を伝えることを目的としています。何より、地域に根ざした団体が行ったことで、 「あいち」 にて健康経営に取り組む具体的な施策の創出につながるものと予想されています。
あいち健康経営会議は今後も年1回のペースで開催される予定です。生活習慣病の発症予防・重症化予防の徹底は、すでに国や地域が一丸となって取り組むべき事柄となっています。
■ 参考
株式会社日本経済新聞社 日本経済新聞
厚生労働省
平成29年度 地域の健康増進活動支援事業について
平成26年度 国民医療費の結果概況
日通システム株式会社 健康経営. COM
健康経営研究会 岩見沢市健康経営都市宣言