糖質制限は “緩やか” でいい?新たな糖質制限食の認識と考え方

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糖尿病予防の観点での食事療法というだけでなく、ダイエットへの期待からも 糖質制限食についてはさまざまな考え方が発信されています。こちらもまた、トレンドになっているだけに 「健康を守る」 ために個人が認識しておきたいことをまとめてみたいと思います。

 

体に良い?悪い?これまでのハードな糖質制限食

数年前に流行した糖質制限食は、ごはんやパン、めん、いも類など、糖質を多く含むとされる食品の量を減らし、それらの摂取を抑えるというものです。ダイエット法としても有効だとされ、短期間で体重減少や食後高血糖の改善が見られると話題になりました。しかし、 「三食すべて主食抜き」 や 「炭水化物禁止」 など、厳しい制限が設けられているものが多く、長期間続けるのは難しいとも言われてきました。

一方で、糖質制限食はその効果や安全性が明らかにされておらず、2013年の時点では、日本糖尿病学会が 「カロリー制限のない糖質制限は勧められない」 という見解を示しています。これは糖質以外からのカロリー摂取量が過剰になったり、たんぱく質の摂取が増えることで糖尿病性腎症の第3期にあたる顕性腎臓病以降の腎症のある患者に悪影響があるのではないかという懸念が拭い切れなかった結果だと考えられます。主食を完全に抜いてしまうと栄養バランスが崩れやすくなるという問題点もあり、糖尿病食としては極端な糖質の制限は推奨されてきませんでした。

 

緩やかな糖質制限食 「ロカボ」 、日常に取り入れやすいのが特徴

そんな糖質制限食の新たな考え方として、今、 「ロカボ」 が注目を集めています。ロカボとは 「 Low Carbohydrate 」 の略で、緩やかな糖質制限を意味します。 「食・楽・健康協会」 の代表理事である山田悟氏 (北里研究所病院糖尿病センター長) が提唱しており、一食で摂取する糖質量を20~40g、デザートは10g以下、1日に摂取する糖質量は70-130gの適正量に抑えていれば、カロリー・脂質・たんぱく質などの摂取には制限がないものとしています。つまり主食を含めて食べてはいけないものがなく、満腹になって良いとされており、これまでとは定義の異なる糖質制限食だといえます。すでにロカボ食品 (糖質オフ食品) が多く登場しており、ローソンのブランパンや紀文の糖質ゼロ麺、グリコの糖質 off キッチンシリーズなど、緩やかな制限と市販品の豊富さから考えても、日常に取り入れやすい糖質制限法となっています。
糖質は血糖値を明らかに上昇させる代表的な栄養素です。そのため可能な限り摂取を抑えようと、 「三食すべて主食抜き」 というような極端な方法が広がってしまったものと考えられます。しかし、糖質を完全に排除してしまうと栄養バランスが崩れて、エネルギー不足や基礎代謝の低下に繋がることもあります。
最近では過度な糖質制限が糖尿病患者に悪影響を与える可能性も出てきているため、バランスの良い食事で適正量の糖質を摂ることが、糖尿病の予防・改善に近づくものといわれています。
なお1型糖尿病をはじめインスリン治療を行われている方は、糖質を摂取しなければインスリン補充を中止できるという簡単な話ではありません!インスリンの自己分泌がなくなった1型糖尿病の方などでは重篤な状態に陥る危険性もありますので、主治医に相談の上、導入を検討なさってください。

 

■ 参考
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
糖尿病患者さんの7割が”糖質制限”を経験 糖尿病ネットワーク調査
カロリー制限しない糖質制限は「勧められない」 日本糖尿病学会が提言
糖分を1日5%以下に制限 肥満や虫歯の原因に WHOが指針を発表
食・楽・健康協会 公式HP
ロカボオフィシャルサイト
株式会社薬事日報社 薬事日報

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