【1型糖尿病予防ワクチン開発研究】佐賀大学医学部 永淵先生と三根先生への 一問一答

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2021年11月から行われている、ふるさと納税クラウドファンディング「1型糖尿病予防ワクチン開発」プロジェクト

ワクチン開発を目指し日々研究に勤しむ、佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科特任教授 永淵正法先生と特任助教 三根敬一朗先生に、SNS等を通じて広く募集した10の質問に回答していただきました。

 

Q1.ワクチンが実用化されたら、何歳くらいから打つことができますか?

永淵先生

永淵先生:現在ワクチン開発研究の対象としているコクサッキーBウイルスは、ポリオワクチンに準じたワクチン接種計画(あるいは一緒にした多価ワクチン)になります。

ポリオワクチンの場合は、以下の期間と回数のワクチン接種が義務付けられています。

  • 年齢生後3ヵ月から90ヵ月(7歳6ヵ月)まで
  • 初回免疫:生後3ヵ月から生後12ヵ月までに3~8週の間隔をあけて3回接種(標準的な接種期間)
  • 追加免疫:初回免疫終了後12ヵ月から18ヵ月あけて(最低6ヵ月以上)1回接種

※コクサッキーBウイルスとは、1型糖尿病をひき起こすと言われるウイルスのこと。

 

Q2.予防効果の期間はどのくらいなのでしょうか?インフルエンザワクチンのように毎年打つ必要はありますか?

永淵先生:前述のように幼少期、小児期に打てば生涯大丈夫です。小学生の頃に追加接種を任意で行うことも可能です。

 

Q3.ウイルス糖尿病のワクチンを打つことで、1型糖尿病以外にも予防効果が期待できる病気はありますか?

永淵先生:1型糖尿病を発症させると考えられているコクサッキーBウイルスは、一般的には、若い人の無菌性髄膜炎、夏風邪、流行性胸膜痛、特発性心筋炎などを引き起こしますので、その予防に寄与すると思います。

また、2型糖尿病の予防効果があると考えられます。

2型糖尿病患者さんのうち、我々が発見したウイルス糖尿病感受性遺伝子(ウイルス感染によって糖尿病を引き起こすリスクを高める遺伝子)を持つ人の頻度は健常者の約2倍です。

 

Q4.ワクチンは1型糖尿病の予防ですが、すでに1型糖尿病をり患している人にもメリットはありますか?

永淵先生:すでに発症された方への予防効果はありません。ただ、 コクサッキー BウイルスはQ3で回答したような病気の予防には寄与すると思います。できるだけ若い時期の接種が必要です。

 

Q5.1型糖尿病を発症したばかりの子でもワクチン接種に意味がありますか?

三根先生

永淵先生:残念ですが、Q4でも回答したように発症後にはワクチンの効果は認められないので、1型糖尿病に対する予防としての意義は乏しいと考えられます。(より重症化を防ぐ意義は、少しはあるとは思います。)

三根先生:すでに1型糖尿病を発症された方は、ワクチン接種によって、残存するインスリン産生細胞をウイルスが攻撃することを防ぐことができると考えられます。血糖コントロールのさらなる悪化を防ぐ効果がある可能性があります

 

Q6.ウイルス感染から発症とありますが、こちらのワクチンを打った方が良いのは近親者に糖尿病の人がいる場合ですか?

また、ワクチンを打つタイミングは、近親者に糖尿病の人がいたらウイルス感染に関わらず事前に予防として打つのでしょうか?

永淵先生:もちろん、1型糖尿病の近親者は発症リスクがより高いので、ワクチン接種の優先度は高いと考えます。ワクチン接種は上述のように事前の予防として広く行うことが望ましいと考えます。

 

Q7.1型糖尿病予防ワクチンを打つことで、考えられる副反応や免疫反応を教えてください。

永淵先生一般的なワクチンと同じで、局所の痛みのほか、全身倦怠感、アレルギー、などです。

Q8.研究者になりたいと思ったきっかけは何ですか?

永淵先生:研修医の時に、所属科の責任者ある九州大学第一内科の柳瀬敏幸教授から、ウイルス学教室で学ぶようにとの指導(命令?)があり、九州大学ウイルス学教室で研究を始めて、その面白さに目覚めました。その感動が現在も続いています。

三根先生:永淵先生の指導の下、大学4年生の頃に卒業研究に従事し、研究の面白さと奥深さを知ったことがきっかけで研究者になりたいと思いました。

大学4年生までは研究者になることや、大学院に進学して学ぶことなどは全く考えていなかったので、人生は何があるかわかりません(笑)。

多くの人の役に立つ可能性を秘めた仕事が出来ていることを嬉しく思います。

 

Q9.たくさんの研究の中で、なぜワクチン開発の研究をしようと思ったんですか?

永淵先生:私の研究のバックグランドがウイルスであること、臨床は糖尿病を専門としていることを背景としています。糖尿病でウイルスの研究、できれば臨床に意義のある研究をしたいと考えたことがこの研究に取り組む契機です。

実のところ1型糖尿病の原因のウイルスはかなり多数報告されていますが、多くはすでにワクチンが開発されていますので、ワクチンをきちんと接種することで予防できることになります。

そこで、まだワクチンが開発されておらず、かつ1型糖尿病の原因ウイルスとして最も確率が高いと考えられているコクサッキーBウイルスを対象にワクチン開発を目指すことにしました。

また、研究の過程で、マウスとヒトに共通するウイルス糖尿病感受性遺伝子Tyrosine kinase 2(TYK2)を世界で初めて発見した(Naature Communications 2015, EbioMedicine 2015)ことで、本研究:ウイルス糖尿病予防ワクチン開発を目指す大きな励みになりました。

 

Q10.おすすめの佐賀の特産品やお土産は何ですか?

永淵先生:佐賀の特産品は、佐賀牛、佐賀米(佐賀びより)、海苔、お酒、焼き物(有田焼)かと思います。キャッチコピーは

「佐賀県へのふるさと納税で、佐賀牛をゲットし、ウイルス糖尿病予防ワクチン開発プロジェクトを応援しよう」

ですかね。

三根先生:佐賀はなぜかパフェ屋さんがたくさんあります。パフェが隠れた特産品かもしれません。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。
この10個のQ&Aを通して、少しでも「1型糖尿病ワクチン」に興味を持っていただけたらうれしいです。
「このプロジェクトを応援したい!」と思われた方は、いっしょに1型糖尿病根絶を目指してアクションを起こしましょう!

 

「1型糖尿病予防ワクチンプロジェクト」
詳細はこちら 

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