糖尿病は遺伝する?生活習慣だけが原因ではない、2型糖尿病と関係の深い因子とは

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糖尿病の問診票やセルフチェックの項目を見ると、多くに 「家族や親戚に糖尿病の人がいるか」 、という質問が入っているのことに気づきます。
こういった問いが用意されているのはなぜでしょう。糖尿病は両親や親族から遺伝するものなのでしょうか?

 

家族に糖尿病がいると要注意?発症しやすい体質は遺伝する

2型糖尿病は 「遺伝」 と関わりの深い病気だといわれています。親や兄弟姉妹に患者がいる場合、糖尿病の家族歴がない人と比べると、発症しやすいとされています。

しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではありません。たとえば、遺伝的な背景がまったく同じである一卵性の双子の一方が 2 型糖尿病になったとき、もう一方が 2 型糖尿病になる確率は約 80 パーセントだとされています。つまり、発症には遺伝以外の要因も関係していると考えられるのです。

遺伝するのは 「糖尿病になりやすい体質」 です。これは糖尿病の「遺伝的素因」と呼ばれており、そこに食べ過ぎや運動不足、肥満、加齢、ストレスなどさまざまな環境因子が加わることによって、はじめて糖尿病が発症するといわれています。そのため2型糖尿病は遺伝的素因による体質の影響があるものの、生活習慣に気を配ることで予防できる可能性も高いとされています。

 

糖尿病になりやすい日本人。 「遺伝的素因」 に人種差の影響も

また、日本人は欧米人と比較すると、軽度の肥満でも糖尿病になる例が多く報告されています。それはインスリンの分泌力が弱く、高血糖の状態が長く続きやすい (血糖値が上がりやすい) 体質であるからだと考えられています。

日本人がこういった体質になった原因は、一説によれば遊牧民族であった欧米人とは異なり、農耕民族で肉や脂肪を多く摂ってこなかったため、それほどインスリン分泌が必要でなかったからだといわれています。

さらに、近年では東京大学の研究チームによって東アジア人に2型糖尿病発症のみに関係している遺伝子が発見されるなど、 遺伝的に受け継ぐ要因 には人種差・民族差があることが医学的にも明らかになってきました。

ほとんどの日本人は糖尿病の 「遺伝的素因」 を多少は持ち合わせているといわれています。 「親族に糖尿病がいる・いない」 で判断することなく、やはり普段から生活習慣をしっかり管理して、糖尿病予防をすることが大切となってきます。

 
■ 参考
株式会社創新社 糖尿病ネットワーク
2型糖尿病になりやすい遺伝子を発見 発症の危険が1.2倍に 東大など
糖尿病Q&A1000 糖尿病の遺伝
京都大学 糖尿病・内分泌・栄養内科 糖尿病教室
オムロン ヘルスケア株式会社 OMRON All for Healthcare
糖尿病は食事で治る 遺伝による糖尿病体質を改善する方法
株式会社エス・エム・エス 糖尿病ねっと

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