シックデイの対処法

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皆さんは、「シックデイ」という言葉を知っていますか?
糖尿病ネットワークさんが2020年4月に実施したアンケート「糖尿病と感染症」では、インスリン治療中の方の約半分が感染症によるシックデイの予防や対処方法について指導を受けたことがないと答えています。

この度、川村智行先生(大阪市立大学医学部附属病院 小児科新生児科講師)と広瀬正和先生(D Medical Clinic Osaka 院長)にシックデイについてポイントをまとめていただきましたので、ぜひ日頃の血糖コントロールにお役立てください!
 

シックデイの対処法のポイント
 
◆風邪や胃腸炎などの感染症や大怪我や手術後など、食事が出来なかったり、インスリンの働きが悪くなったりしますので、シックデイと呼びます。

◆シックデイで、食事摂取ができなくても最低限のインスリンは絶対に必要です。食事が出来なくてインスリンは減量しても、止めてしまうことは絶対にしないでください。

◆普段よりも、こまめに血糖測定をしてください。

◆追加インスリンは、食後に打つ方が良いでしょう。シックデイの時は目標血糖値を150mg/dlなど高めに設定しましょう。

◆体調不良が続くときは、早めに医療機関に相談しましょう。
 

 

シックデイとは

風邪や胃腸炎などの感染症、大怪我や手術後など、食事が出来なかったり、インスリンの働きが悪くなったりしますのでインスリン量の調整が難しくなります。糖尿病の患者さんがこのような状態になることをシックデイ「病気の日」と呼びます。

 

シックデイのインスリンの打ち方

1型糖尿病は、インスリン補充は絶対に必要です。食事が出来なくてもインスリンを止めてしまうことは絶対にしないでください。インスリンの働きが悪くなって高血糖になりやすくなります。一方で、食事摂取が減り、低血糖になりやすいなど血糖管理が難しくなりますので、普段よりもこまめな血糖測定をしましょう。

基礎インスリンは食事に関係なく必要ですので、必ず打ってください。シックデイでは、インスリンの働きがわるくなり、基礎インスリンの増量も必要になることがあります。逆に、食事が出来ない状態が数日続くと基礎インスリンも減量が必要なこともあります。

追加インスリンは、食欲がない、吐き気がある時は食後に打つ方が良いでしょう。食べても嘔吐してしまうことがあるので、嘔吐しないことを確認後に食べた分だけ食後にインスリンを打ってください。高血糖の時は、補正インスリンは普段通りで良いです。しかし、低血糖時にしんどくて補食ができないこともありますので、シックデイ時は目標血糖値を150-200 mg/dlなど高めに設定しておいて、あまり下がりすぎないようにしておいたほうが安全です。

シックデイでは、普段よりインスリンが効きにくくなり、インスリンをきちんと打っていても、ケトアシドーシスになることがあります。倦怠感が強く、ぐったりしている、嘔気が強いなどのケトアシドーシスが疑われる症状がある場合は、すみやかに医療機関に連絡し、指示を仰いでください。

 
感染症への意識も高い昨今ですので、この機会にシックデイになったらどうするかについて主治医と確認してみてはいかがでしょう。

なお、1型糖尿病の方でSGLT2阻害薬を服薬中の場合は、川村先生にまとめていただいた「SGLT2阻害薬を使用するときの注意点」もご活用ください。

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