疾患を未然に防ぐ治療へ
読者の皆様は歯科医院を訪れるのはどういう時でしょうか?きっと歯が痛い、しみる、腫れてきた等の時に歯科受診をされる方が多いのではないでしょうか。もちろんその通りなのですが、これからの歯科医療は(図1)に示されたようにこれまでの削る・詰める中心の治療から予防、つまり定期的に受診し、疾患を未然に防ぐ、進行を抑制する治療へとシフトしていくものと思われます。
(図1)歯科衛生士のための21世紀ペリオドントロジーダイジェスト クインテッセンス出版より
歯の本数と年間医療費の関係
さらに、香川県歯科医師会が平成26年度に歯の本数と年間医療費の関係を調査した結果を(図2)に示します。歯の数が0~4本の人は、20本以上ある人に比べ、年間19万円も高くなりました。
(図2)平成26年度香川県歯の健康と医療費に関する実態調査報告書
また、歯周病の程度と医療費の関係について、歯周病のない人は年間医療費が低く、歯周病の程度が重度になるほど高くなります。(図3参照)
(図3)平成26年度香川県歯の健康と医療費に関する実態調査報告書
次に、平成21年から26年まで、過去1年間に歯科検診を受けていない人は受けている人よりも年間医療費が約10万円高くなっています。(図4参照)
(図4)平成26年度香川県歯の健康と医療費に関する実態調査報告書
お口の定期健診を受けていないという方は是非かかりつけの歯医者さんでチェックを受けてみられることをお勧めします。
次回から、歯を失う最大の原因である「歯周病」について連載をはじめます。少しでもお役に立てれば幸いです。
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栗原幹直(くりはら みきなお)
徳島大学歯学部卒後、岡山大学歯学部歯周病態学講座入局。2004年広島県三原市に「くりはら歯科医院」を開業。日本歯周病学会歯周病専門医、日本糖尿病協会登録歯科医、1型糖尿病患者専門受け入れ歯科医院。