歯周病はインスリン抵抗性を上げる原因にも
前号で糖尿病の合併症の一つに歯周病があることをお話ししました。
▶【第6回】歯周病は糖尿病の合併症〜知って良かった!歯と健康のお話〜
進行した歯周病があるとインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる)が増し、血糖コントロールの悪化をもたらします。
逆に、(図1)のように、2型糖尿病患者さんが歯周病を治療することによりインスリンが効きやすくなり、HbA1cが0.4~0.7%改善したとの報告もあります。
(図1)サンスター歯科財団より HbA1について
栄養バランスの良い食事をとるには歯の健康も重要
また、歯周病で歯がぐらぐらしていたり、抜けたりすると、しっかりと噛めなくなります。
その結果、糖尿病の予防や管理のために大切な栄養素である食物繊維や不飽和脂肪酸、ビタミン類などの摂取が少なくなり、取りすぎに注意が必要な炭水化物や飽和脂肪酸などの摂取が多くなることで、栄養バランスがくずれがちになります。
(図2)サンスター歯科財団より 食事管理と歯の健康について
歯周病を治療すると血糖コントロールが改善する
歯周病の治療をすることは、硬いものをしっかりと食べることができ栄養バランスの良い食事が摂れることに繋がります。
さらには歯周病という慢性の感染症が改善されることにより血糖コントロールの改善も期待ができるのです。
次号は歯周病と糖尿病についてのまとめになります。
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栗原幹直(くりはら みきなお)
徳島大学歯学部卒後、岡山大学歯学部歯周病態学講座入局。2004年広島県三原市に「くりはら歯科医院」を開業。日本歯周病学会歯周病専門医、日本糖尿病協会登録歯科医、1型糖尿病患者専門受け入れ歯科医院。