【第11回】歯周病の治療(1) 歯肉炎(軽度歯周病)~知って良かった!歯と健康のお話〜

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正しい歯磨きの仕方

歯周病は歯周病細菌の感染によって発症する感染症です。

つまり、歯周病の治療の目的はこれら細菌自体および感染した歯周組織等の感染源を取り除き、再び細菌が感染しにくい口の中を作ることです。

口の中には300から600種類の細菌約60億個もいます。歯磨きを怠るとさらに繁殖し数百億個まで増えます。つまり、口の中は体の中で最も細菌がたくさん住んでいるところなのです。

まず、口の中の細菌の絶対数を減少させるための第一歩は、正しい歯磨きをきちんとすることです。

一般的な歯磨きの仕方を図で表しておきます。

(歯周病のある方)                             (歯周病のない方)
サンスター歯科財団より引用

歯周病のある方は「バス法」、歯周病のない方は「スクラビング法」が適しています。

しかし、個々の口の中の状況や年齢などにより磨き方が違うので、かかりつけの歯医者さんで自分に合った磨き方を教わって下さい。

さらに、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)、また抗菌剤入りの歯磨き粉や洗口剤の使用もお勧めします。

次に、歯石(細菌の塊)は歯磨きだけでは除去できません。そのため、歯石除去には、スケーラーという器具を使って掻き取ったり、超音波スケーラーという器具の振動作用で除去していきます。

歯肉炎などの軽度の歯周病であれば、これらの器具による治療により、歯肉縁上(歯周ポケットが約3mm以内)のコントロールができれば治療終了となります。

しかし、歯槽骨の破壊が進んでいる中等度以上の歯周病では、細菌は歯肉縁下の深部で増殖しています。そのため、歯周ポケット内深部に存在する細菌、歯石、汚染された組織を取り除く治療が必要となります。

次回は中等度歯周炎の治療のお話をします。

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栗原幹直(くりはら みきなお)

徳島大学歯学部卒後、岡山大学歯学部歯周病態学講座入局。2004年広島県三原市に「くりはら歯科医院」を開業。日本歯周病学会歯周病専門医、日本糖尿病協会登録歯科医、1型糖尿病患者専門受け入れ歯科医院。

 

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