【第13回】歯周病の治療(3)歯周組織再生手術~知って良かった!歯と健康のお話〜

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歯周組織再生手術とは

歯を支えている骨(歯槽骨)が破壊されている重度歯周炎の治療は今までの治療に加え、歯周外科処置が必要になることもあります。従来から行われている歯周外科処置は再び細菌が感染しないよう歯周ポケットを浅くすることが中心でした。

そのため、歯ぐきが下がり、冷たいもので歯がしみたり、審美的にもよくないこともありました。しかし、近年、歯周ポケットをなくすことに加え歯周組織(歯槽骨・歯根膜・セメント質・歯肉)を再生する手術ができるようになりました。

いくつかの手術方法がありますが、当院で行っている手術について説明します(図&写真)。

 

 

(図&写真:販売&資料提供;科研製薬株式会社)

歯科外来にて、図と写真のように局所麻酔下で歯肉を剥離し、感染源を除去した後、歯槽骨が破壊された部位にリグロスという成長因子(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤を注入し、縫合して終了となります。

手術時間は約1から2時間です。

※リグロスⓇ歯科用液キットは、遺伝子組換え技術により大腸菌を用いて製造したヒト塩基性線維芽細胞増殖 因子(basic fibroblast growth factor(bFGF)、一般名:トラフェルミン(遺伝子組換え))を有効成分とする 歯周組織再生剤です。

その後、抗生剤とうがい薬で口腔内を清潔に保っていただき、約2週間で抜糸を行います。

ただし、歯周組織の再生程度は、個人差や歯周病の程度により異なります。

また、すでに歯槽骨の破壊がかなり進んでいたり、歯磨きが不十分であったり、喫煙していたり、また他にも不適応な条件があった場合は手術ができないこともあります。

かかりつけの先生にご相談下さい。

次回は連載の最終回となります。

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栗原幹直(くりはら みきなお)

徳島大学歯学部卒後、岡山大学歯学部歯周病態学講座入局。2004年広島県三原市に「くりはら歯科医院」を開業。日本歯周病学会歯周病専門医、日本糖尿病協会登録歯科医、1型糖尿病患者専門受け入れ歯科医院。

 

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